空爆と追跡の増加で対テロ戦術へ回帰

2010.12.16

 military.comが米軍がアフガニスタンでタリバンに対して、空爆と追跡を劇的に強化し、対テロ戦術へ立ち戻ったという記事が載りました。

 しかし、内容はあまりよくないので、その中から参考になる数字を拾い出しました。

 米軍機は11月に戦闘出撃で、昨年同時期の3倍の回数を飛びました。1月から11月末まで、軍用機は2009年全体の13%増しの30,000回、地上軍のために近接航空支援任務を行いました。過去半年で、連合軍は7,000回以上の特殊作戦を行い、600人以上のタリバン指揮官を殺害・拘束し、2,000人以上の戦士を殺害しました。icasualties.orgによると、米軍の戦死者は9年間の戦争で最大の693人となりました。CIAの無人攻撃機の攻撃は、昨年53回に較べて108回に増加し、昨年405人に比べ今年は809人の武装勢力を殺害しました。


 5倍近い人的損失を敵に与えているのに、なぜNATO軍がアフガン南部を支配できないのかが疑問です。空爆と敵指揮官の追跡で対テロ戦術を遂行しているなどと満足すべきではありません。問題は実施している戦術が戦略に適っているかどうかです。これだけやって、勝利が見えてこないのは明らかに異常であり、見直しを行うべきと考えなければなりません。

 明らかに米軍は戦略なき戦いを漫然と続けているだけです。しかし、兵士へ敬意を表す建前から、アメリカのあらゆるレベルの議員は、この問題を直接口にできません。その結果、無意味な戦いが延々と続きます。これがアメリカの戦争の最大の問題です。アメリカはこういうレベルを早く卒業すべきなのです。



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