韓国が中国の仲裁に三行半

2010.11.29

 28日に行われた李明博大統領と中国首脳の特使との会談は、時代の節目となり得そうです。単的に言えば、変化が見られない中国に韓国が変化を求めたということです。

 朝鮮日報によれば、李大統領が「今や北朝鮮が民間人まで無差別攻撃する状況に至った。中国も姿勢を変えなければならない」という主旨の発言をしたと報じています。韓国政府が中国による仲裁はまったく効果がなかったという結論に達したこと。間接的な表現ながら、もう中国には期待しないと宣言した点が、大きな変化です。

 これにより、北朝鮮が将来的にさらなる挑発的行動に出る危険があります。また、6ヶ国協議が形骸化し、韓国、アメリカ、日本の同盟が強化されるために、米軍の駐留が強化され、中国が強い圧力にさらされるという、大きな政治状況の変化を生むかも知れません。また、ロシアは一歩遅れをとったため、立場が弱くなるでしょう。ロシアは天安撃沈事件に首を突っ込んだものの、まだ報告書を出せておらず、いまは何を言っても説得力がありません。顔を出すために、ロシアは早急に天安撃沈事件の報告書を出し、砲撃事件でも発言をして失地を回復しようとするでしょう。

 中国はオリンピック大会、万国博覧会を開催し、宇宙開発にも乗り出して、国際社会に羽ばたこうとしています。これを我々が利用しない手はありません。国際的な国は応分の責任を負ってもらわないと困るということを、ことあるごとに説いて協調的な行動を求めるのです。

 日本は総理経験者である鳩山由紀夫氏が韓国に飛び、犠牲者に哀悼の意を表しました。中国は犠牲に無頓着という韓国政府内の見解が報じられています。これは大きな違いです。

 この際、日本の総理大臣は、就任後に必ず非武装地帯にある板門店の共同警備地域を訪問する慣行を作ったらどうかと思います。かつてクリントン大統領がやったように、日本の総理大臣を警備責任者の韓国陸軍中将が出迎え、その映像を世界に配信するのです。このデモンストレーションは北朝鮮と中国に圧力を与えます。

 この転機を韓国、日本、アメリカがどう利用するかが問題です。つまり、意図的に韓日米の連携を強化し、中国をその輪から外すという姿勢を見せるべき時です。


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