2014年のアフガン撤退は現実的か?

2010.11.22

 military.comによれば、バラク・オバマ大統領(President Barack Obama)は初めて、2014年末までに米軍がアフガニスタンでの主要な戦闘を終えることを望むと述べました。

 同盟国はこの目標の意味について、異なる解釈をしています。オバマ大統領は「私の目標は、2014年までに移譲を確実にして、アフガン人が先頭を切ることであり、我々がいま関与しているような戦闘活動を依然として行っていないことを確実にすることです」。

 一部の同盟国にとって、2014年はその軍隊を戦う役割からシフトするという目標以上です。イギリスのデビッド・キャメロン首相(Prime Minister David Cameron)は「大規模なイギリス軍はいないでしょうし、2015年までには彼らは戦う役割にはいません」と言いましたが、イギリスはすぐにアフガンを放棄する気はないと付け加えました。「我々は彼らの軍隊を訓練するのを助けられるでしょう。我々は依然として多くの支援を効果的に遂行できるでしょう。我々はこの国をテロリストが拠点にできる無法の地に戻るのを望みません」。

 カナダは戦う役割を2011年に終えようとしています。

 2014年にアメリカの戦闘任務を終えるというオバマ大統領の予想が守られたら、それは10年越しの戦争の転回点となるでしょう。しかし、アフガン軍が米軍の支援なしに勝利を得ることを拡大、向上させることすら確定してはいません。


 記事の残りはNATOサミットの内容の説明ですが、大体は国内でも報じられていることなので省略します。

 NATO諸国の間にある解釈の相違はそれほど問題ではありません。問題はアフガン軍の強化が2014年に間に合うかです。タリバンを完全に掃討することが不可能なのは、ヘルマンド州での戦況を見れば分かります。すでに主な作戦は終了したのに、依然としてタリバンが活動を続けています。カンダハル戦の様子はほとんど報じられず、難航している様子が見て取れます。米軍がいても難しいのに、アフガン軍だけでできるのかということです。結局、アフガン軍の強化はできるところまでやって終わることになるのでしょう。結果がどうあれ、米軍は期日までに撤退を完了することになります。その後も、アフガン軍の支援は続けるものの、それ以上のことはしません。

 このサミットで、ロシアがヨーロッパへのミサイル配備で協力することになりました。ミサイル防衛は、もともと、ロシアの弾道ミサイルを防ぐ目的で計画されましたが、すっかり目的が変わりました。対テロの問題で、アメリカとロシアはすっかり協力関係になりました。アメリカ、ヨーロッパ、ロシアが戦争をする可能性がなくなったということは喜ばしい反面、これらの国が難しい利害関係にあることを忘れさせます。たとえば、グルジア問題のように、NATOとロシアが激しい対立関係にある問題があります。グルジアでこれら3勢力が対立することがあれば、協力関係は一気に崩壊することになります。しかし、そうした混乱を3勢力は望まないので、何か新しい手を考えることになります。つまり、対立の原因がなくなったわけではないのに、表向き争いがなくなるという環境が整いつつあるわけです。

 アメリカはアフガン撤退を終えることで、戦争の予算を縮小し、米軍は軍を小型化して、対テロ用にあらゆる分野でドクトリンの変更が進められることになります。これで理想的な対テロの態勢を整えて、経済問題の解決に集中できるようになるのです。



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