ラプターのパイロットは死亡と判断

2010.11.21

 military.comによれば、アラスカ州で墜落したF-22を操縦していたジェフ・ヘイニー大尉(Capt. Jeff Haney)は死亡したと認定されました。

 墜落現場からヘイニー大尉のフライトスーツの切れ端、その他の個人を表す物が発見され、ヘイニー大尉は生存していないと結論されました。脱出用シートの一部も現場から発見されました。「我々はまだ遺体を見つけたり、遺体の一部を発見していません」とジャック・マクミューレン大佐(Col. Jack McMullen)は言いました。

 「天候は良好でした。月明かりが77〜80%の晴れた夜でした」「地面が見え、山が見え、地形が見えました。だから、航空機が飛ぶには最適の夜でした」。帰投するため、ヘイニーが180度ターンをした時、飛行機はヘイニー大尉の機を前にして、10マイル離れていました。ヘイニーと連絡が取れなくなった時、飛行機は互いに2マイル離れて互いに通り過ぎるところでした。

 パイロットが脱出すると、緊急位置送信機が起動しますが、そういう信号は探知されませんでした。

 1億4300万ドルの機体は、雪で覆われた、2つの山の間の谷間に墜落しました。空軍が上空から撮影した現場写真は、黒い部分が囲むクレーターを示しています。「およそ18〜20フィート(5.5〜6m)の丸い穴のようです。水があります。どれくらいの水かは、今は分かりません。そして、それは凍り始めています」「残骸はクレーターの内側と外側にあります」。


 事故に直接関係がある部分だけを訳しました。

 第一報のあとにアンカレッジの天候を確認した時は、気温は低いものの晴れていて、飛行条件は悪くないことが分かりました。しかし、マクミューレン大佐の語調は、言葉とは裏腹にパイロットが生存していないと思っているように感じられました。それが、どうにも気になりましたが、やはり死亡していたのです。

 天候がよく、すでに1時間以上飛行し、特殊な機動を行っていたわけではなく、恐らくは水平飛行の最中だったのに、パイロットが何も対処できないほどの、急な墜落が起きたことになります。機体の故障も考えられますが、それよりもパイロットの突発的な身体の異常を疑います。

 これから事故原因が追及されることになります。最新鋭機だけに、完全な調査が求められます。しかし、極寒地帯に墜落したこともあり、機体の回収には時間がかかりそうです。記事の翻訳しなかった部分に、その苦労が書かれていますから、興味のある方はお読みください。マクミューレン大佐がクレーターの中に水があり、それが凍結し始めていることを気にしているのは、回収が大変であることを示唆しているのです。普通に機体を掘り起こすだけでも大変なのに、氷の中の機体を掘り出すのですから。



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