グアムの射撃場建設で民間団体が提訴へ

2010.11.20

 沖縄の普天間基地移転によって関係のある記事が報じられました。military.comによれば、グアム島のグループと市民が米軍相手に、新しい実弾射撃場に古代の村を選んだのは連邦の環境と歴史を保全する法律に違反しているとして訴訟を起こしました。

 問題の発端については、過去の記事を参照して下さい。(過去記事はこちら

 ホノルルの地方裁判所に出された訴訟は、海軍が環境と歴史的な場所への影響が少ない代替地を十分に考察することを怠ったと言いました。また、海軍は環境アセスメントを十分に行わなかったとも言いました。

 訴状は、考古学的な研究は、パガット(Pagat・kmzファイルはこちら)が西暦700年に始まり、伝統的な知識は村が3,000年前に存在したとすると言いました。村は先住民のチャモロ族が建物を組んだ、ラッテと呼ばれる石を削った基礎のセットを20組持ちます。

 原告の一つ「The Guam Historic Preservation Trust」は、パガットのハイキングツアーを主催します。訴状は、メンバーは各訪問の前に、神聖な場所に入る許可を申請すると言います。別の原告、「The National Trust for Historic Preservation」は、パガットをアメリカの最も危険な史跡の2010年のリストに載せました。同団体は実弾射撃場をリストに載せた理由と主張しました。

 海軍は9月に射撃場の場所をパガットの2カ所の場所に絞りましたが、最終的な決定は、射撃場が古代の村に与える影響について、保護当局から助言を受けるまで先延ばしにしています。


 この裁判が長引いたり、海軍が負けると、実弾射撃場の建設が遅れ、海兵隊のグアム移転が遅くなります。海軍としては、裁判で頑張るよりは、原告の主張を認め、早く代替地を決めようとするかも知れません。また、保護当局の見解次第では、建設地を移動する可能性があります。

 射撃場では、銃弾を土の斜面に撃ち込むので、この部分の土壌は鉛で汚染されます。また、発砲の際に、燃焼し切れなかった火薬の粒が周囲に飛び散ります。これらが史跡に悪影響を与える可能性は多くはないものの、考えておかなければいけないことです。また、重要な史跡の近くで発砲音がするのは好ましくありません。暴発によって、流れ弾が周囲に及ぶ危険は、普通、射撃場は地面を掘って深い位置に設けるので、それほど心配はないものの、史跡訪問時に身体に弾を受けたくないと考える人がいるかも知れません。

 それほど大きくはないものの、射撃場の建設は普天間基地移転にも影響を与える可能性があります。今後も注目していきます。



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