ビデオ公開で中国の要請はあったのか?

2010.11.18

 田原総一郎氏が言う、ビデオ公開に関する中国と日本政府の密約は、事件後に民主党の細野豪志前幹事長代理が訪中したことが根拠なのかも知れません。

 「週刊現代」の11月27日号に、細野氏が訪中した件が書かれており、その際に、中国で逮捕されたフジタ社員の釈放と引き替えに、映像を公開しないという密約がなされたという、匿名の民主党幹部の見解が紹介されています。これはすでに他でも報じられていることですが、田原氏が言うように「中国政府が『絶対にビデオ映像を公開しないでほしい』と民主党政府に要請してきた」とは書いてありません。事実かどうかが分からない密約が、中国がビデオを出すなと要請したと変化した可能性があります。これは報道のあり方として最悪でしょう。アメリカの報道なら、匿名の情報源の場合、対象を直接知る人が選ばれるのが常です。密約については、「週刊現代」も特別な情報は持っておらず、民主党内で囁かれる噂を書いたに過ぎません。

 繰り返し書いておきますが、日本のマスコミは、こういうレベルを脱却すべきで、報道ルールをより厳密に定める必要があります。



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