武装勢力が南ルートの輸送トラックを攻撃

2010.10.3

 military.comによれば、パキスタン南部で、武装勢力と見られる者たちが、27台の石油タンクローリーを焼きました。その後に出された別の記事と合わせて、この事件を紹介します。

 金曜日に攻撃を受けたタンクローリーの車列は、閉鎖されていたパキスタン南部の2番目の国境に向かっていたようです。車両がトルカムが閉鎖されたために、進路を変えたものかどうかは不明です。

 外国部隊のための燃料、スペア部品、衣類、その他の非致死性補給品の約80%は、アラビア海のカラチ港に陸揚げされたあと、陸に囲まれたアフガニスタンへパキスタンを通って運ばれます。同盟軍はアフガンへの他の補給路を持っているものの、パキスタンのは最も安価で便利です。イスラム武装勢力は頻繁にNATO軍の補給タンクローリーを、彼らの影響が強いパキスタンの北西部で襲撃します。攻撃は国境から遠いサインド州(Sindh province)で起こり、武装勢力がリーチを延ばしたことを示しました。約10人のガンマンが、深夜を少し過ぎた時に、シカルプル市(Shikarpur)の端にあるトラックストップに駐車している車両を攻撃しました。彼らは攻撃の前に、運転手やその他の人たちを追い払い、負傷者や死者は出ませんでした。トラックは攻撃から数時間燃え続けました。トラックはカラチ市からシカルプル市へ到着し、クエッタ市(Quetta)に向かっていました。そこから道路は検問所のあるチャマン(Chaman)へ向かいます。パキスタンでの車列への攻撃は、武装勢力の宣伝用の勝利ですが、連合軍当局はアフガンでの作戦に影響はないと言います。大半の輸送は無事であるためです。さらに、中央アジアのルートもあります。パキスタン軍は北西部では輸送車列に警護をつけますが、南部や中部では滅多にそうしません。

 同じ日、さらにもう1件の攻撃がありました。バルチスタン州(Baluchistan province)のレストランの駐車場で1台のトラックが攻撃を受け、運転手と助手が生きながら焼かれました。

 金曜日、トルカム検問所では約150台のトラックが国境が開くのを待っていました。運転手たちは武装勢力の攻撃を心配しています。


 最初の記事には、1番目の攻撃が行われた日について、木曜日と金曜日の両方と書かれています。金曜日早くに起きたので、記者が混同したのかも知れません。

 シカルプル(kmzファイルはこちら)、クエッタ、チャマン、バルチスタン州の位置をGoogle Earthで確認してみてください。シカルプル以外の地名は、「レイヤ」の「境界線や地名」をオンにすれば表示されます。シカルプルから北西に向かう道路「N65」を辿れば、クェッタとチャマンが見つかるはずです。このルートはカンダハルへとつながっています。バルチスタン州はサインド州の西側にあります。ついでに、カラチ港の位置も確認しておきましょう。ハイダラーバードを経由するルートが分かるはずです。このように、軍事的な問題が起きたときは、必ず地図で位置関係を確認してください。Google Earthはそのために最適のツールです。

 明らかに、パキスタン政府の国境閉鎖に武装勢力が便乗して起きた攻撃です。もしかすると、武装勢力に通じるパキスタン情報部が、アメリカに圧力をかけるために、そうさせたのかも知れません。そうだとすれば、問題は悪質です。

 こんなことで、補給品が欠乏するわけではありません。しかし、これでも徐々に戦費を浪費させることができるのです。失うのは燃やされた石油の代金、タンクローリーや被害を受けた運転手への補償金だけではありません。補給路を警備するパキスタン軍を強化するのなら、アメリカはパキスタンへの援助金を増やす必要があるかも知れません。こうして、徐々に出費を増やさせ、それが延々と続くとすれば、相手は嫌になって撤退することになります。これがゲリラ側の戦略なのです。



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