アフガン撤退後に軍の削減を示唆

2010.10.29

 military.comによれば、民主党のジム・ウェッブ上院議員(Sen. Jim Webb)がオバマ政権がアフガニスタンから撤退したら、すぐに米議会は陸軍と海兵隊の規模を縮小するよう変更できると言いました。

 「我々がイラクとアフガンにおける緊張を緩めたら、我々は陸軍と海兵隊の規模を減らすべきであり、そうするでしょう」「我々が、我々の戦略部隊と巨大な国家戦略を気にせずに、長期間の土地への関与を持つとき、我々はこうしたサイクルを通ります」と、10月27日に記者に言いました。ウェッブ上院議員は、ロバート・ゲーツ国防長官の締め付けが増加する予算の中でコスト削減を見出せとの要請に関わらず、基本給と医療ケアの範囲の削減は提案されていないと強調しました。そのかわりに、ウェッブ上院議員は絞り込んだボーナス、フェローシップ・プログラム、「Xe Services(元ブラックウォーター社)」のような民間企業との訓練契約で削減を模索していると言いました。

 彼の声明は、ヨーロッパの最も軍事力の大きな2ヶ国が、経済危機のために軍隊を削減しているときに来ました。イギリスは唯一の航空母艦を廃船にして、戦車部隊の40%を削減し、ドイツは陸軍を30%近く削減し、徴兵制を停止します。


 ウェッブ上院議員は、海兵隊出身で海軍長官を経験しています。米議会の中でも軍事通の逸材です。元は共和党員でしたが、2006年の中間選挙で民主党候補として出馬して当然しました。イラク戦争で態度を変えた元軍人の1人です。だから、彼の発言には重みがあります。

 イラク戦争以降、軍は入隊ボーナスや再契約時のボーナスなどの得点を増やしました。度重なる派遣による兵士とその家族の負担を減らすために増員計画を立て、実行中です。膨れあがった防衛予算を懸念する声は以前からありました。しかし、アフガン撤退の目処がついたために、議論が本格化することになります。これはオバマ政権の公約でもあります。この流れは止まらないでしょう。

 これがアルカイダと戦う能力を減らすかというと、そうではありません。実は、現在のような大規模の派遣を続ける方が、その能力は衰退するのです。部隊は広範囲に拡散し、始終動き回る敵と終わりのない戦いを続けています。こんなのは、単に戦闘を続けているだけで、戦略のない戦いに過ぎません。無駄な部隊は撤退させ、より柔軟な組織に転換するしか米軍の未来はないでしょう。

 もう何年かして、若い兵士たちが然るべき地位に昇進すると、イラク戦争以降の戦略戦術を変えようという動きが、より強まるはずです。テロ組織相手に大規模な派遣をするのではなく、小規模な部隊や諜報活動、プロパガンダ活動などで対抗していく方向へ変化すると、私は考えています。国家は戦争だけに関わっているわけではありません。経済力が弱くなれば、戦争に勝っても意味のない時代に来ているのです。政治の側には、貧困国から大きな恨みを買うような状況が起こらないように制御する政策が必要です。原因を作らなければ戦争は起こりません。



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