マルジャ鎮圧も、タリバンは水面下に

2010.10.20

 military.comによると、アフガニスタン、ヘルマンド州のマルジャ(Marjah・kmzファイルはこちら)では、海兵隊員はタリバン兵に出会うことが激減しました。

 「奴らを見るのは、銃撃戦で接触した時だけです」と、チャック・マーチン伍長(Cpl. Chuck Martin)は言います。さらに、銃撃戦中に彼らを垣間見ることも稀のことがあります。2月に連合軍がマルジャに殺到したとき、タリバンは支配を止めました。しかし、彼らは去ったのではなく、市民に紛れ、米軍パトロールを待ち伏せする圃場と潅漑用の掘という地の利を得て、地下に潜っただけです。現在、米軍は、1分間戦い、次に農作業をするふりをして、しばしば見分けのつかない敵との、たまには終わりのない縄張り争いに見える、膝までの深さの古典的なゲリラ戦にいます。

 「私は2時間タリバンを探しましたが、数秒間だけでした」とベンジャミン・ロング伍長勤務上等兵(Lance Cpl. Benjamin Long)は言います。彼は、最近のパトロールで、彼の足元で機関銃弾が埃を舞いあげた時、彼らが接近していたことを知っています。「まるで戦う幽霊です。彼らはやってきては去ります。彼らは素早いです。彼らはこれを長いことやっていて…上手です」。

 米軍がパトロールに出かけると、子供や農民は家から出てきて、彼らを近くで見ます。一部は単に好奇心で。他の者は武装勢力にアメリカ人が何をしているかを知らせるために携帯電話を使います。銃撃戦が勃発すると、海兵隊員は隠れながら撃ち返すためにタリバンが隠れる場所を見つけださねばなりません。彼らは最初に銃声を聞き、発砲の閃光を探します。しかし、ガンマンは時々、厚くて見えない群葉の中にいます。タリバンは兵士が武装ヘリコプターや迫撃砲の斉射を呼ぶのにどれだけかかるかを知っているので、銃撃戦はしばしば、15〜20分間続きます。航空支援が到着しないと、彼らは再び発砲を始めることもあります。

 最近の銃撃戦で、ある海兵分隊は、武装勢力が発砲したばかりの建物から、使用済みの薬莢を拾いました。7月に到着して以来、こうした痕跡を見つけるのは初めてでした。「普通、彼らはすべてを銃撃戦の後に運びます」「彼らは死者、負傷者を運び出すのが本当に上手いです」とジェフリー・ベンソン3等軍曹(Sgt. Jeffrey Benson)は言います。2日後の20分間の戦いで、ゲリラは小さな廃校の校舎の壊れた窓から海兵隊を待ち伏せました。海兵隊が占領すると、使用済みの薬莢をもっと見つけました。再び死者、負傷者はいませんでした。 すぐに、彼らは2カ所以上の場所から発砲を受けました。武装勢力はめったに撤退せず、発砲するどこか別の場所を見つけます。「ちょっとした、いたちごっこみたいなものです」「我々はなんとか彼らを捕まえようとしています。彼らは武器を隠し…同じ場所に戻って来て、同じライフル銃を取ると、再び我々に発砲します」。

 2回目の銃撃戦の最中、海兵隊員は攻撃者を抑圧するために迫撃砲の砲撃を無線で連絡しました。砲弾の一波は建物の外壁に沿って爆発し、地域を揺るがし、茶色い塵の雲を大量に巻き上げました。マーチン伍長があとで損害の評価のために到着すると、彼はこの地域でタリバンはまったく見ていないと、一般的に繰り返される文句を主張する家の父親を見つけました。「私は、彼の家のすぐ外にいた奴がライフル銃で私を撃つのを見たと彼を問い詰めましたが、彼は依然として否定しました」「彼らが我々を馬鹿だと思っているのか、話したくないほどタリバンを恐れているのかは分かりません」。

 アフガン駐留米軍は、市民がタリバンに背くように変えることが、戦争の流れを変える鍵だと言います。マルジャでは、海兵隊2個大隊とアフガン軍が8ヶ月駐留しても、それは未だに優位なレベルで起きていません。「彼らは常に『なぜあなたたちは我々の助けを欲しがるのですか? あなたがたは銃を持っています。飛行機を持っています。ヘリコプターを持っています』と我々に尋ねます。彼らは彼らが我々に与える情報が最も助けになることだと認識していません」。

 一部の住民は、オバマ大統領の次の夏にアフガンからアメリカ人を引き揚げさせるという公約を聞いて、米軍は長くマルジャにいないと信じていると、海兵隊員は言います。米軍がいつ去ろうと、ここに生きる人たちは無能でやる気のないアフガン警察と軍、さらに彼らの中にすでにいるタリバンと共に取り残されると考えています。「彼らは誰を信じるべきか分かりません」とロング伍長勤務上等兵は言います。


 重複しているところや、あまり重要ではない部分を省略して、まとめてみました。

 この記事は非常に面白いです。また、カンダハル戦の真っ最中に、別の場所での僅かな成果を紹介しています。やはり、カンダハル戦では、読者に訴えられるものがないわけです。かつ、その戦いも戦果が薄く、とても成功とは言えない内容です。米軍の圧力が少しでも弱まれば、タリバンは地域を支配します。銃身は米軍もアフガン軍も信じていません。マルジャで8ヶ月かけて、この様子です。地域の広さから言って、カンダハルはもっとかかります。これがすべてです。

 来年の夏までに、カンダハルを制圧できる可能性は非常に低く、タリバンが和平交渉のテーブルにつくこともありません。交渉が実現しても、タリバンは長引かせ、米軍の撤退までに成立しないように仕向けるでしょう。そのために、マルジャからも完全に撤退せずに、再占領を狙って、兵士を残しているわけです。



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