NATO軍がタリバン補給路を破壊?

2010.10.19

 ようやくアフガニスタンの戦況に関する情報が出てきました。military.comによると、NATO軍はアフガンの一部地域で武装勢力の補給ルートを細らせました。その結果、武装勢力は市民から金を強奪しています。

 カブールのNATO軍司令部広報官ヨセフ・ボルツ准将(Brigadier Gen. Josef Blotz)は、「我々は武装勢力が彼らの補給チャンネルから不十分な弾薬と武器を受け取る事例を見ています」「我々はタリバン広報官がこの現象を連合軍のせいにしようとする事例すら見ています」と言います。それでも、武装勢力は適応していると、連合軍は言います。「武装勢力が不足に対処する方法の一つは、国中の村でアフガン人に違法な課税を拡大することです」「農民から引き出された金は、さらなる武装勢力の暴力のために使われているといわれています」。

 ボルツ准将は、過去2週間に、西部で2人の影の知事を含む6人のタリバン指導者が殺されるか、逮捕されました。先週、東部のコースト州(Khost)、パクティカ州(Paktika)で、連合軍は3つの大規模な武器の隠し場所を見つけました。南部では金曜日に、停止させた車両から6,600ポンド(3,000kg)の麻薬が押収されました。先週は、8,000ポンド(3,800kg)のアヘン、ヘロイン、硝酸アンモニウム(爆弾の原料)がヘルマンド州(Helmand)で押収されました。

 日曜日に、NATO軍は空襲で最高14人の武装勢力容疑者を殺しました。北部のバグラン州(Baghlan)では同じ日に、空襲で約10人を殺しました。この空襲は、爆弾を仕掛け、この地域のタリバン指揮官に金と武器を供給している指揮官を狙いました。兵士が現地に行くことができないので、犠牲者の数を確認することはできませんでした。

 この他、南西部ミムロズ州(Nimroz)で、空襲で武装勢力4人を殺害。ヘルマンド州(Helmand)のゲレシク地区(Gereshk)で、NATO軍の輸送隊を守っていたアフガン労働者9人がガンマンに殺害されました。同州のサンジン地区(Sangin)で武装勢力の武器を発見し、55kgの自家製爆弾の筒を6個、はかり、ボイラー室、物干し場を精密な爆撃で破壊しました。


 タリバンへの補給が減った理由や規模が、記事にはまったく示されていません。NATO軍の能力だと、ごく狭い範囲でタリバンの部隊を包囲する程度しかできず、包囲による補給切れでないことは明らかです。一時的に、指導部から来る資金や物資が途絶えているとしか思えません。また、どの軍もある程度の補給不足は克服できます。タリバンは課税によって、それを回避しようとしています。結果として、NATO軍はそれほど大きな成果は得られないと考えられます。

 戦果に関しては、NATO軍側の成果に関係するものだけを取り上げましたが、カンダハル市内に関する戦果がまったくありません。現状なら、カンダハル市内やその西方地域で激しい戦闘が起きているはずで、それに関する戦果が一つくらいは出なければなりません。それがないことに、やはり制圧作戦は進展していないと想像できます。その代わりに、こうした戦果を発表したと考えた方が妥当です。



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