イラクの自由作戦の死者数は?

2010.10.15

 military.comによれば、米軍は、2004年1月〜2008年8月に、民間人と治安当局者を合わせて76,939人が死に、121,649人が負傷したと発表しました。この数字はイラク政府のものよりもかなり下です。また、同時期の外国部隊の死者数は3,952人でした。

 イラク人権省(the Iraqi Human Rights Ministry)は昨年10月に、2004年1月〜2008年10月31日までの死者を85,694人、負傷者を147,195人と発表しています。

 米軍は、イラクの民間人の包括的な犠牲者数を共有するというAP通信の要請に繰り返し抵抗してきました。新しいデータは中央軍のウェブサイトに7月に、コメントや説明なしに静かに掲載されました。今週、それは2005年に情報公開法に基づき最初に要請した、AP通信の民間人と軍人の犠牲者数の定期的なチェックで見つかりました。米軍広報官マイケル・T・ローホーン中佐(Lt. Col. Michael T. Lawhorn)は、集計方法や公開した理由についてコメントを避けました。また、数字に武装勢力容疑者を含むか「Sahwa(覚醒評議会)」として知られる、政府が後援するスンニ派戦士がイラク軍の死者数に含まれるかについて明らかにしませんでした。

 この数字は、民間人の死が派閥闘争で生じたかどうかは特定しません。しかし、イラクの自由作戦中に国防総省が発表したチャートは、イラク人が敵対的な暴力か、事故や自然な理由かを示していました。昨年10月のイラク人権省の数字には、イラクの民間人、軍人、警察官を含んでいますが、米軍、武装勢力、請負業者を含む外国人は含みません。

 イギリスの「the Iraq Body Count」の集計は、2003年3月〜2010年9月19日までのイラク人死者数を98,252〜107,235人としています。このグループは報道などをを情報源にしています。

 AP通信は先月までに、派閥闘争で死んだ武装勢力を除くイラク人の数をまとめました。2005年4月28日〜2010年9月31日に、49,416人の民間人と治安当局者が死亡しました。この数字は、多くの殺人が、特に遠隔地でより多く報じられておらず、低く見積もられています。


 省略しましたが、記事には死者を集計するのは非常に難しいことだと書いてあります。集計する団体により、数字がこれだけ違うのは不自然なことではないのです。

 戦闘のショックで心臓発作を起こした人が、数日後になくなった場合、以前から心臓病を持っていると、紛争に関係する死亡とは見なされない場合があります。負傷の場合はもっと曖昧です。戦闘中に転んで足をすりむいたのも負傷ですし、失血死しそうな銃創も負傷です。どこまでを負傷と認定するかでも数字は変化します。

 コメントは簡単にしますが、これらの数字は頭に入れておいて損がありません。紛争の負荷と犠牲者の関係は、戦争を考える上で、念頭に置いておくべきことです。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.