バグラム空軍基地に秘密収容所が存在

2010.10.15

 military.comによれば、自由主義者の富豪ジョージ・ソロス(George Soros)が設立した「オープン・ソサエティ財団(Open Society Foundations)」が、ごく最近、アフガニスタンのバグラム空軍基地(Bagram Air Field・kmzファイルはこちら)の中に設けられた秘密の収容所に収容されていたアフガン人が虐待を受けたという主張を報告しました。

 バグダム空軍基地にはアフガン作戦で捕らえた者たちを拘留していますが、一部の者たちは、より小さく孤立した「Black Jail」に拘留されました。米軍は、そのような隠された収容所を運営していないと否定し、すべての拘留施設は、米国法、国防総省の方針、ジュネーブ条約の捕虜条約に適合した、同一の厳しい基準で保持されていると言いました。

 ジョナサン・ホロウィッツ(Jonathan Horowitz)が書いた報告書によると、元拘留者は、彼らが過度の冷気と光にさらされ、十分な食事と毛布を与えられず、睡眠を奪われ、健康診断のために裸にされ、彼らの宗教の実戦を妨害されたと言います。報告書は、「Black Jail」の説明に合致した施設に収容されていた18人の拘留者との面談に基づきました。その半数は2009〜2010年に、軍が施設の改革を実行したあとに収容所にいました。何人かは彼らの監房が歯がガタガタ鳴り、眠れないほど寒く、毛布は不足していたと言います。光は24時間降り注ぎました。元収容者の一人は「冷蔵庫の中で寝ているようだった」と言いました。

 陸軍の人的情報収集作戦のフィールドマニュアルは、拘留者を過度または不十分な熱、光、換気にさらしてはならないと言います。必要な食糧の奪取を禁じ、24時間あたり最低4時間の睡眠を妨げてはならず、強制的に裸にすることを禁じています。

 抑留者の多くは、ひどい臭いがする食べ物を与えられ、食事と共に与えられたビスケットを食べられるだけだったと言いました。裸をさらすことに対するイスラム教徒とパシュトン人の感性に反して、健康診断のために強制的に裸にされました。抑留者はコーランを読め、メッカの方向を示す壁の印はありましたが、時刻が分からないので、いつ祈るのかを知るのが難しく、祈りの前に儀礼の洗浄を行うのに十分な水がなかったと言いました。特定の抑留者は赤十字社が彼らを訪問することを妨げられていたと言いました。赤十字社は2009年8月以来、国際部隊がアフガンで逮捕したすべての人について通知されていると言っています。


 同財団のウェブサイトには、この件の記事(こちら)と報告書(こちら)が掲載されています。

 これが本当ならば大変な問題です。オバマ大統領は公約にグアンタナモベイ収容所の閉鎖を掲げました。アメリカ本来の人道的な捕虜扱いに戻るつもりが、場所を変えて同じような収容所があるのならば、政権へは大きな打撃になります。しかも、中間選挙は目の前で、民主党の劣勢が伝えられている最中です。

 ここで紹介されている虐待の様子は、ジュネーブ条約の捕虜条約の多くに違反します。収容所でも宗教の自由は確保されなければならず、儀式に必要な物を用意して、その実践を可能にしなければなりません。宿営も食事も健康的な物でなければなりません。死亡した場合は死因を調査して報告書を作成する規則もあります。健康診断は少なくとも1月に1度行うことになっています。

 この記事を読む限りでは、米軍には規則を守る意志はあったものの、熱意は薄く、その結果、こうした状況が生まれたのだと考えられます。物理的に形にならない部分で手抜きが起きているように見えるところが、それを窺わせます。あるいは、尋問を効果的に行うために、意図的に虐待した可能性もあります。酷い環境に置いて、釈放をちらつかせながら、有益な情報を引き出そうとするのです。

 おそらく、軍か第三者機関がこの問題を調査することになるでしょう。



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