ドニロン大統領補佐官の評判は?

2010.10.10

 military.comによれば、国家安全保障担当大統領補佐官として、ジェームズ・ジョーンズ大将(Gen. James Jones)の後任となる次席補佐官トム・ドニロン(Tom Donilon)に対して、政権トップから懐疑的な声が出ていることが、ボブ・ウッドワード(Bob Woodward)の「Obama’s Wars」に書かれています。

 同著によると、ロバート・ゲーツ国防長官(Robert Gates)は、ドニロンに対して、深い躊躇を表明しました。ゲーツ長官は、ドニロンが軍に対して理解していないか、軍高官を十分な敬意を持って扱わないと感じています。長官は後にジョーンズ大将に、ドロンはオバマの国家安全保障補佐官として大失敗だと述べました。政権当初から補佐官を務めた前海兵隊指揮官のジョーンズ大将もウッドワードに、ドニロンは組織内の技能はあるが、大統領を補佐する問題について十分な知識がないという欠点があると述べました。「彼はアフガニスタンかイラクに行ったことがなく、真剣な現地調査のためにオフィスを出たことがありません」「これでは、これらの場所について直接的な理解が得られず、軍隊と信頼関係を持てません。海外に行くべきなのです」。ジョーンズ大将は、ゲーツ長官が、ドリトンが名前を知らない将官について述べた、強く、弾みで出た意見により、怒って会議を退席しかけたことがあると言います。「頻繁に、自分が行ったことがない場所、会ったことがない指揮官、一緒に働く同僚について、絶対的な意思表示をまくし立てる」と、ジョーンズはドニロンについて述べました。

 ジョーンズがドニロンと交替するという発表のあと、ゲーツ長官は声明を出しました。「私は、過去数年、ジョーンズ大将との仕事を心から楽しみました」「私はトム(・ドニロン)と他のオバマ大統領の国家安全保障チームとの仕事上の関係を評価しており、我が国が直面する数多くの切迫した安全保障上の問題に取り組む我々のコラボレーションを続けることに目を向けています」「トムは、特に国家安全保障担当次席補佐官としての現在の在任期間から、この重要な役職に経験という財産を持ち込み、習熟しています」。

 国家安全保障会議をよく知る関係者は、ドリトンは党派心が強く、大統領への批判を許さないという評判を持つと言います。


 昨日、記事を更新できなかったので、本日更新を行います。なお、記事の後半は省略しました。

 ウッドワード氏の本「オバマの戦争」は随分と反響を呼んでいるようです。Amazon.comでも、現在、この本は売り切れで、注文待ちの状態です。今度は、この本から、新しい国家安全保障補佐官のドニロン氏に対する批判が取り上げられました。彼がどんな人物なのかが気になります。

 アフガンやイラクに足を運ぶことは重要ですが、現地に行かなくても、十分に考察すれば正しい判断はできます。しかし、彼が無知を元に判断をくだし、それに気がつかないのなら問題です。

 驚いたことに、Wikipediaの彼のページには顔写真が載っていません。ワシントン・ポストのプロフィール記事を見ると、軍歴はなく、法律を学び、民主党政権で様々な役職に就いてきたようです。プロフィールだけだと、何とも言えません。軍歴がなくても軍事を理解することはできますし、軍人の中にも軍事的なセンスをまったく持たない人もいます。イラク侵攻時の国防大臣ドナルド・ラムズフェルドには軍歴がなく、確かに彼は最悪でしたが、ゲーツ長官はCIAに長く勤務したものの、軍歴はありません。彼を評価するには、彼の発言を沢山解析する必要があります。

 オバマ政権では撤退を含む問題が議論されたので、軍の言い分もよく聞いた上で、政治側の要望を伝えて、軍を納得させる必要があります。ドニロン氏は、それを性急にやろうとして、反感を買ったのかも知れません。ゲーツ長官が怒ったというのは気になりますが、まずはドニロンの発言に注目してみることにします。



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