イエメンの聖職者が聖戦を示唆

2010.1.15

 military.comによれば、イエメンの宗教指導者のグループが、アメリカがアルカイダと戦うためにイエメンに軍を派遣するならば、聖戦を起こすと警告しました。

 声明を出したのは、強い影響力を持つシーク・アブドル・マジド・アル・ジンダニ(Sheik Abdul-Majid al-Zindani)を含む15人の聖職者たちです。アル・ジンダニは、アメリカがオサマ・ビンラディンの精神的な師としていますが、イエメン政府にとっては重要な支援者でもあります。こうした人物の警告は、アメリカに協力しようとするイエメン政府をジレンマに陥らせます。「もし、軍事上あるいは治安上の手法で、外国が武力侵略を主張し、我が国を侵略したり干渉したりするなら、イスラムの息子たちは聖戦を行い、侵略者たちと戦う義務があります」とアル・ジンダニは主張しました。

 最初、アメリカが軍を派遣しないと宣言しているので、直ちにイエメンに武力介入が行われる危険はないと思いましたが、よく読むと「治安上の手法」も聖戦の対象と言っているのは、アメリカがイエメン軍を訓練したり、資金援助をしても聖戦の対象になると述べている可能性があります。それらは既に行っているので、これは事実上の聖戦開始宣言かも知れません。あとは、彼らが何を対象事項に抵触したと考えるかだけが問題です。

 いまや、アメリカにとって最善の戦略は「これ以上敵を増やさないこと」です。しかし、それも無理となりつつあるのかも知れません。


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