2010年の展望など

2010.1.1


 本日から記事の更新を再開します。今年は日本国内では普天間基地の移転問題が焦点となりますが、対テロ戦はさらなる状況の悪化が予測されます。

 普天間基地問題では、国内マスコミの意識の低さと、それらに引きずられる日本国民の対米依存精神が気になります。日本政府は戦後、アメリカの支援で作られた自由民主党がほとんどの期間において与党を占め、アメリカの指示に従う政策が繰り返されてきました。このため、日本国民はそれが正しい姿だと信じ込まされてきました。しかし、外国の軍隊がこれほど長く駐留を続けるのは異常なことと考えるべきであり、政府が沖縄を重視して、よりよい結果を模索しているのは日本人として喜ぶべきことです。「国同士の約束を守るのは当然」との意見は一般論としては正当ですが、これまで沖縄を「アメとムチ式」でしか考えてこず、自らの利権をむさぼるために、余計に基地を造るとした旧自民党中心の政府への批判がないのはなぜなのでしょうか?。私は今回のことは、日米関係を新しい時代へ進めるための第一歩だと見ており、むしろ歓迎しています。

 対テロ戦は今後、さらに悪化します。さらなるテロが起こり、国際社会にそれを止める能力はありません。これはオバマ政権がアフガニスタンからの撤退を表明したからではありません。アルカイダのようなタイプのテロ組織は過去になく、各地域でそれぞれのグループが別個に活動しています。こうしたテロ組織を阻止するのは困難なのです。残念ながら、現在はアルカイダが大きなミスをして、イスラム教徒の支持を失うことを願うくらいしか手がありません。ブッシュ政権の失敗は大きすぎて、オバマ政権が簡単に克服することはできないのです。国際社会がチャンスをつかむには、かなりの時間がかかると見るべきで、それまでできるだけ被害を小さくするのが最善策です。しばらくは勝利のニュースは期待できないとしても、それで失望するのは早計です。

 ところで、現在公開中の映画「アバター」が、環境問題と対テロ戦をモチーフにしていることをお話ししておきたいと思います。作戦会議のシーンで「preemptive attack」という言葉が出てきます。これは「先制攻撃」という意味で、対テロ戦の基本的なコンセプトとなった言葉です。先制攻撃が正当かどうかは国際法の分野でしばしば話題になるテーマです。字幕では「脅威」と訳していたと記憶しますが「terror」という単語も登場し、明らかに作品には対テロ戦を暗示する内容でした。米映画界は完全に対テロ戦へ反旗を翻しました。彼らはオバマ大統領を支持し、状況が好転するのを待つのでしょう。

 時間があれば、あとで報道記事の解説も掲載します。


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