NATO軍が誤爆による死者を認める

2009.9.9



 military.comによれば、アフガニスタンでのクンドゥズ州(Kunduz)で起きた誤爆事件について、これまでNATO軍は民間人が負傷した可能性だけを認めていましたが、はじめて民間人が死亡したことを認めました。

 NATO軍の広報官は、ドイツ軍の地上指揮官がタンクローリーを取り囲んでいるのは全員がタリバンだと判断して空爆を要請したものの、続く調査によって爆撃で民間人が死傷したことを認めました。マクリスタル大将はカナダ軍の少将に調査を指揮するよう命じました。米空軍の将校とドイツ軍の将校も調査チームに参加しています。

 アフガン戦に対するヨーロッパ諸国の態度は傲慢で、過去の植民地統治を連想させるものです。アメリカに露払いをさせて、自分たちは後から参入して、アフガンの復興という見せかけの名誉ある任務についたのです。しかし、事態は思ったようにはいかず、ドイツもイギリスも何とかアフガンから足を抜こうとして四苦八苦しています。いい加減に先進国たちは自分たちの軍隊が発展途上国よりも進んでいるという幻想を捨てるべきです。戦争はどのようなものであれ地獄なのであり、ハイテク兵器の効果でそれを打ち消すことはできないのです。努力をするのなら、世界に蔓延する極度の貧困の差を解消することに向けるべきです。これこそが戦争の多くの原因であり、それを解決することで世界がどれだけ前進するかは図り知れません。軍事力もそれを達成するために用いるべきです。この事件のドイツ軍の指揮官が、同じ事件がドイツ国内で起きた場合、同じ判断をくだしたとは思えません。相手がアフガン人だから十分な確認をせずに空爆を要請したのです。こうした差別意識こそが、戦争の真の原因です。


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