大統領への圧力と戸惑うアフガン

2009.9.23



 military.comがオバマ大統領にアフガニスタンへの増派決定を促す記事を掲載しました。また、別の記事ではアフガン警察が増派は不要だと言っています。

 国防総省から大統領へは至急増派を決定するよう要請が出されています。ゲーツ国防長官は「みんな深呼吸をすべきだ」と述べて、決定には時間がかかることを暗示しています。大統領が決定してから、派遣すべき部隊を選択し、訓練して、送り出すには時間がかかります。また、前の派遣から12ヶ月を経ないと部隊を派遣できないという問題もあります。この規則から、第101空挺師団の2個旅団が12月前に派遣可能になります。

 一方、アフガン警察からは資金を外国の軍隊に使うよりは地元の治安組織に使う方がよいので、増派は不要だという意見が出ています。すでに、タリバンと戦う豊富な経験を持つようになったのに、増派を受け入れるのは不本意だという意見がタリバンと戦っている州当局者から聞かれます。カンダハル州の犯罪捜査部の長、モハマンド・パシュトン(Mohammad Pashtun)は資金がアフガン軍に投じられるべきだと述べ、「国際部隊を増やすことは有用ではありません。アメリカの軍人1人への出費で、我々は15人のアフガンの軍人、警察がまかなえます」と述べています。米軍とNATO軍の広報官が、あれこれと自分たちの立場を弁護する発言も掲載されていますが、省略します。

 そろそろ準備を始めないと、派遣が可能になる部隊が動けないこともあり、大統領に圧力がかけられているようです。アフガン側からの意見はもっともで、働かせるために「ドリトス」みたいなコーンチップスまで売店に並べる必要がある米兵よりは、最小限の装備でも活動できるアフガン兵士の方が効率的です。米軍は砲爆撃の分野で貢献し、歩兵部隊は減らしていく方向で対応できるかも知れません。その方が早くアフガンの治安部隊を増強できるのかも知れません。この点を詳しく検討した文書は、おそらく米軍やNATO軍にはないでしょう。自分たちがアフガン軍・警察を育て得るのが大前提ですから、自らの存在価値を低くするような検討はしていないはずです。一方、アフガンの治安組織にタリバンと通じる者が入り込んでいるという問題もあります。こうした問題も含めて、アフガンの治安組織にシフトを移す方法が正しい選択かを慎重に検討すべきです。マクリスタル大将の報告書には、それは失敗を導くとだけ書かれており、まったく考察されていません。


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