パキスタンで警備会社が違法武器で摘発

2009.9.21



 military.comによれば、パキスタン警察が、米大使館を警備する地元の警備会社を捜索し、無免許の武器を押収し、社員2人を逮捕しました。

 記者は警察官から押収した61丁のアサルトライフルと9丁のピストルを見せられました。アメリカ大使館を守るための警備会社を設立しようという動きがあると地元メディアが報じていました。警察は会社の社長を捜しています。パキスタンの記者やブロガーなどは、アメリカが自国のブラックウォーター社(現在はXe社)のような民間軍事会社をパキスタンで使っていると考えていますが、米大使館はそれを否定しています。こうした見解は、ほとんどがパキスタンの米大使館は人道支援を行うために数百人のスタッフを増やす予定であるところから来ています。

 パキスタンの反米感情は異常なレベルにあり、米大使館についてもたくさんの都市伝説が生まれていると想像します。白人の殺し屋が米大使館を警備しているというイメージは、そんなところから来ているのでしょう。しかし、先日発覚したように、アフガニスタン大使館を警備する会社が異常な活動を行っているという事実もあります。こうした話に尾ひれがついて広がっていくのは自然な話です。おそらく、この事件はなにかの噂を信じ込んだ金持ちが先走って、警備会社を設立し、米大使館との契約を勝ち取ろうとした結果だろうと思います。これも戦争が引き起こす一種のドタバタ劇の一つです。

 ところで、パキスタンに蔓延するアメリカに対する様々な噂を集めたら、さぞかし面白い話になりそうです。パキスタンに限定せず、中東全体に広まっているアメリカに関する噂を集めてもよいでしょう。それをアメリカ人に見せて、「あなたたちはこんな風に見られているよ」と教えてあげたらどうかと思います。

 それから、昨日、オバマ大統領が、確信が得られない限りアフガンへの増派を支持しないと発言しましたが、military.comが、こうした政権の態度に軍は焦燥感を高めていると報じているので、ご紹介しておきます。オバマ大統領の慎重な態度には驚かされました。私は軍の勧告をオバマ大統領が承認し、これを最後の増派としてアフガン戦の出口を模索していくと考えていました。増派によって何かが達成されるとは思えません。治安がよくなったように見せる演出くらいの効力しか得られないと考えられるのです。これ以上の犠牲を出さないために増派を承認しないという大統領の考えは、予想以上に明晰だと、私は感じました。米軍には、ここで苛々しないことを望みます。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.