マレン議長がアフガン戦略を語る

2009.8.27



 military.comによれば、統合参謀本部議長のイク・マレン海軍大将(Navy Adm. Mike Mullen)がNBCのテレビ番組「ミート・ザ・プレス」に出演し、オバマ政権のアフガニスタン戦略について語りました。

 戦略はアルカイダとその過激派の連合を打破することに焦点を絞っており、それは非常に具体的で、タリバンを含んでいる、とマレン大将は述べました。アフガン国民の安全度と国内にテロリストの隠れ家を再発させないことを保証するために、治安の確保を良好にして、統治が正しい方向へ移行させるのを確実にして、経済を発展させることに焦点があてられており、12〜18ヶ月の内に、この方向を変えなければならないと述べました。現在、大統領から命じられている査定は2週間の内に行われ、特別な追加の資源のための必要事項を論じないだろうと述べましたが、通常のプロセスの中で必要なものはあるとも述べました。

 マレン大将の発言には、やはり具体性は感じられません。これとこれを実行すれば問題は解決するという話ではなく、結局、いくらかは追加の派兵が必要になることをほのめかしているように思われます。で、それをそう思わせないような表現を使っているところが余計に気になります。そもそも、軍人が経済の発展にまで骨を折っているような現状がおかしいのであり、軍人は治安問題だけに専心できるようにすべきです。日本では、災害派遣などがあると、すぐに自衛隊がやってきて生活に必要なインフラを作り上げてみせます。だから、自衛隊を経済活動に活用しようとするのは誤りです。飲料水にしても、水道水と自衛隊が作る飲料水ではコストが違います。自衛隊はあくまで戦時や災害時に緊急に不足する物を、高コストを払ってでも実現するのであり、日常的に使える物ばかりを装備しているのではありません。ブッシュ政権の対テロ対策の誤りそのものが、軍隊が持つ力を誤って認識した結果だと、私は考えています。元々の任務にないことを軍隊に命じても、その効果は期待しようもありません。いくら、軍隊内部にビジネスマンそこのけの経済活動をする者がいたとしても、本来任務で力を発揮できるわけではありません。

 なお、military.comによれば、先日、アフガン南部カンダハル市で起き、少なくとも43人を殺害し、65人を負傷させた爆弾事件について、タリバンが関与を否定する声明を出しました。非常に意外ですが、タリバンは民間人を殺傷したこの爆弾事件を批判しています。先日報じられた、タリバンの新しい交戦ルールでは爆弾のような無差別的手法は使わないと定めていますが、それを実行しているつもりなのかも知れません。しかし、タリバンでないとすれば、誰がやったのかが問題となります。


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