シンガポールがカンナム号に燃料拒否?

2009.6.24



 今日は取り上げるべき記事が決まらず、更新が遅れました。military.comによれば、カンナム号はまもなくシンガポール港に燃料補給のために寄港しますが、専門家はシンガポールが補給を拒否すると見ています。

 カンナム号は、ミャンマーの首都ヤンゴンの30km南にあるティラワ港(Thilawa port)に向かっているとみられていますが、海運専門家はカンナム号が南浦からティラワまでの6,660kmの海路を走破するには、シンガポールで燃料を補給する必要があるといいます。しかし、韓国のシンクタンクの研究員ホン・ヒュンイク(Hong Hyun-ik)は、シンガポールは世界で最もにぎわっている港であり、最高の燃料補給センターで、中国に次ぐ北朝鮮の通商相手ですが、「適切に行動」し、燃料補給を拒否するだろうと主張します。また、彼は北朝鮮は査察を予期して、禁止物資をカンナム号に積まなかったかも知れないと述べました。同じく韓国の国営研究所のヨン・ドクミン教授(Yoon Duk-min)は、北朝鮮がシンガポールで査察を認めるかも知れないと述べました。

 シンガポールが燃料補給を拒否した場合、カンナム号は別の港に行って補給を受ける必要があります。その手配ができているかどうかが問題となります。

 ところで、この事件の報道は過熱しすぎています。一部マスコミは「カンナム号はミサイルや核兵器などを積載していると見られている」とまで報じていますが、その確証は米軍とて持っていません。米海軍は国連決議に従って監視活動を開始し、カンナム号が該当船として浮かんだから追跡しているだけで、何か確証があるわけではありません。船内に入らない限り、積荷の詳細は分かりません。「米軍なら船内まで透視できるすごい監視機材を持っているはずだ」と想像するのはスパイ映画の見過ぎです。「米軍は何か別の確証を握っているのだ」と想像するのも考えすぎというものです。「米軍がただ船を追いかけているだけのはずはない」という意見は、洋上での監視活動について分かっていません。追跡しないと船がどこに行くかを確実に突き止められませんし、国連決議を実行していることにならないから、追いかけているだけです。とにかくも、まもなくカンナム号はシンガポールかその周辺の港に入るはずです。その後どうなるのかを、よく観察することです。

 ところで、話題を変えます。東倉里発射施設のレーダー施設の件ですが、どうやら現地に施設が完成するのではなく、舞水端里の施設を移設するようです。そして、舞水端里でテポドン2号を打ち上げる時は再び戻すのです。両施設での打ち上げは1ヶ月程度期間が離れているので、こうした技が使えるのです。この情報を得た時は「衝撃」というよりは「笑撃」という感じがしました。よく言えば合理的ですが、早い話が資金がないということです。それに、打ち上げ場所にレーダーがあればよいというものでもなく、人工衛星の軌道を監視するためには、各地にレーダーを設ける必要もあります。それらを一つで済ませようと言うのは、話に無理がありすぎます。4月のテポドン2号発射では、監視のための派遣した船が故障で引き返すという失態もありました。こんな国を恐れる必要はありません。日米の対応は過剰すぎ、むしろ実態から目を逸らしています。


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