米人殺害で請負業者がイラクで逮捕

2009.6.12



 military.comによると、1986年創業の民間軍事会社コーポレート・トレーニング社(Corporate Training Unlimited)の5人の従業員がジム・キッターマン(Jim Kitterman)虐殺の件でイラク政府に逮捕されましたが、3人が釈放されました。しかし、薬物に関する嫌疑のために2人が未だに拘束されており、実際に釈放されたのは1人だけです。結果として、4人が未だに逮捕されたままです。

 ヒューストンに拠点を置く契約業者で、60歳になるジム・キッターマン(Jim Kitterman)はバグダッドのグリーンゾーンで、自分の車の中で目隠しをされ、縛られて、刺し殺されていました。5人は6月3日に事件の調査のために行われた家宅捜索の際に逮捕されました。捜索の際には、イラクの要請によりFBI捜査官が随行しました。イラクの裁判所が証拠不十分として釈放を命じました。釈放されたのはコーポレート・トレーニング社の社長ドナルド・フィ−ネイ・ジュニア(Donald Feeney Jr.)で、まだ釈放されていない社員にはフィ−ネイの息子も含まれています。イラクでは米政府の請負業者の免責特権が廃止されましたが、それ以来、本件は初のケースとなります。

 5人の嫌疑については詳しく書かれていないので、逮捕の是非は不明です。しかし、薬物で再逮捕されたのは、捜索の際に、薬物が押収されたか、薬物検査で陽性反応が出たのでしょう。この会社は警備技術を教えるのが仕事で、社員は逮捕された5人だけですから、全員が元軍人でしょう。戦闘の恐怖を和らげるために、彼らが薬物を利用していたとしても、まったく不思議ではありません。そして、免責特権のない状態でイラク政府に逮捕される最初のケースという点で、どういう展開になるかが気になるところです。イラクがどのような態度で本件に臨むのかにより、今後、イラクが近代国家として先進国の仲間入りができるかどうかが試されていると言えます。

 なお、スタンリー・マクリスタル中将(Lt. Gen. Stanley McChrystal)が予定通りにアフガニスタンの米軍と連合軍の指揮官に任命されました。前任のデビッド・マッキアナン大将(General David McKiernan)は退役するとみられています。同時にジェームズ・スタブライディス海軍大将(Navy Adm. James Stavridis)がヨーロッパ駐留米軍とNATO軍の司令官に任命されました。(記事はこちら


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