タリバンは依然ブネールで活動中

2009.5.25



 military.comによれば、パキスタン軍はブネール(Buner・kmzファイル)でタリバンと戦闘中ですが、パキスタン軍がタリバンから解放されたと主張するダガール(Dagar)を含んだブネールにおいて、その証拠は希薄とみられています。

 先日、パキスタン政府が記者に現地入りを許可したと報じられていましたが、これはその後に行われた現地レポートのようです。記者はダガールから20km離れた村で会った警察官から、「ダガールには行けますが、治安は十分によくありません。ダガールにはまだ問題があります。戦士はいますが、山の中です」という説明を受けました。別の警察官は、武装勢力がダガールから12kmにあるピル・ババ(Pir Baba)に近づいていると言いました。電話で連絡を取ったピル・ババの住民は、2km離れた武装勢力が、パキスタン軍が早期にタリバンを掃討したと主張したスルタン・ワフト(Sultan Waft)で見られると述べました。

 ワシントン・ポストは、戦いはスワト峡谷の主要都市ミンゴラ市(Mingora)で進行中だと報じていますが、こちらは現地からの報告ではなさそうです。市内には20,000人の住民が取り残されており、タリバンが仕掛けた地雷を避けながら戦うため、作戦の進行には時間がかかると、パキスタン軍は主張しています。

 やはり現地に記者が入ると状況が急に見えてきます。タリバンは完全に撤退したのではなく、住宅地から引き揚げただけで、まだ周辺地域にいるわけです。やはりパキスタン軍の発表はあてになりません。ブネールは最も首都イスラマバードに近い場所で、他の地名はそれよりは首都から遠いところにあるのでしょう。各地の正確な位置関係が分かると、もっと状況が見えてくるでしょう。今後、さらに様々な情報が出てくるはずなので、それらを総合的に眺めれば、状況がさらに分かってくるはずです。やっと少し光が見えた気分ですが、状況は深刻なままです。ミンゴラ市での戦闘中に、タリバンが他の地域で活動を始めるようなら、事態はさらに深刻です。

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