パキスタン軍がタリバンを攻撃

2009.4.28



 military.comによると、パキスタン軍は27日にアフガニスタンの北西部国境に接するロウワー・ディール(Lower Dir)で、ゲリラの隠れ家を攻撃し、武装勢力20人を殺害しました。CNNの報道では、タリバンは和平協定を打ち切ると宣言しました。

 26日にも同じ地域で攻撃が行われ、26人が殺害されていました(記事には30人とする見解も載っています)。タリバンによると、攻撃にはヘリコプターと砲兵隊が投入されました。スワト峡谷のタリバン広報官ムスリム・カーン(Muslim Khan)は、「パキスタンの支配者はアメリカ人を喜ばせるために行動しているから、パキスタン政府との交渉は無価値です」と述べました。この和平交渉をまとめた聖職者スーフィ・ムハンマド(Sufi Muhammad)の報道官イザット・カーン(Izzat Khan)は、ムハンマドは攻撃が行われているディール地区にある自宅に捕らえられており、彼の支持者と連絡が取れていないと述べています。「捕らえられている」という意味は私にはよく分かりませんが、彼は「我々は攻撃が終わるまでは、いかなる対話もしないでしょう」と言っており、交渉を避ける言い訳のように聞こえます。

 かつては、パキスタンがアフガンに武器を与えて内乱を助長していたのが、いまやアフガンがパキスタンで軍事作戦を行うようになりました。この段階になっても、パキスタン情報部にはいまだにタリバン支持者がいるのかが気になるところです。タリバンは富裕層の腐敗を煽ることでパキスタンの貧困層に支持を拡げていると言います。今後の展開を考える上で、パキスタン国民がタリバンを支持するかどうかが重要な問題となるのですが、そうした情報は少なく、現段階では判断ができません。こうした問題の分析に武器の知識はほとんど役に立ちません。


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