テポドンを迎撃するのは日本だけ

2009.4.2



 globalsecurity.orgのニュースに、現在の日本の突出した状況が紹介されています。

 韓国、アメリカ、日本はいずれもテポドン2号の打ち上げは受け入れられず、2006年の国連決議に違反するという見方で一致しています。しかし、韓国とアメリカはテポドン2号に対する軍事的な手段を放棄しました。日本は、テポドン2号を撃墜しようとする明確な計画を持つ唯一の国となりました。韓国国防省の顧問であり、ソウル市にあるアジア戦略研究所のパク・スンジェ(Park Seung-jae)はこう言います。「日本が試みていることは非常に重要です。成功するか失敗するかは二の次です。日本は(ロケットを)撃墜する権利を持っています。他国はそれに反対しないでしょう」。パク氏は、撃墜が成功すれば、ここ数ヶ月支持率が急落している麻生太郎総理の政治声明を高めると言います。

 日本人は認識していないかも知れませんが、すでに海外ではこのような認識がなされています。なぜなら、日本は具体的な撃墜手段として、迎撃ミサイルを展開した唯一の国だからです。おそらく打ち上げ予告期間がはじまる4日までに、日本政府はこの突出した状況を何とかしようとして、何かの対策をとるはずです。声明を少し弱めるのが、まず第一に考えられます。これまでの方針を変更したように聞こえない範囲で、人工衛星ロケットを撃墜する気はないことを伝えるのです。首都圏のPAC-3を撤収するのも手ですが、展開した以上、撤収させるのは困難でしょう。今日になって、日本政府は新しい国連決議は求めず、現在の決議の徹底を求める決議に変更したという記事が出てきました。これもその一環かも知れません。

 今、私は強い絶望感を味わっています。誰もこうした状況を危機だと感じていないからです。確かに、現在の状況は戦争でも何でもなく、現在、いまそこに危機があるわけではありません。しかし、もし戦争だったら、この手の失敗が被害を無用に増やすものだということを、日本人は知るべきです。現在のようなやり方を続けていれば、本当の有事にも同じことをやり、大きな損害を出すことになります。今の日本は、火の熱さを知らない赤ん坊のようなものです。

 ところで、打ち上げの時期ですが、これまで4〜5日は天候が崩れるため、6日以降に打ち上げられる可能性が高いとされてきました。昨日になって、気象庁が4〜8日まで舞水端里周辺は大きく天気が崩れることはないと発表しました。私は5日は無理でも、4日にはまだチャンスが残されていると考えていました。それでも、6日以降に、もっとよい天候が期待される場合、打ち上げは6日以降になるとも考えました。しかし、今回の発表で早期の打ち上げもあるかも知れないと期待するようになりました。もっとも、天気だけが打ち上げ期日を決めるのではなく、その他の要因も存在します。つまり、こればかりは打ち上げが行われないと分からないのです。


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