ソマリアの海賊は米国で裁判か

2009.4.18



 military.comが、先日、シールズの狙撃で唯一生き残ったソマリアの海賊がどうなるのかについて報じました。

 アブドゥル・ワル・イ・ムシ(Abduhl Wal-i-Musi)はニューヨークに連行され、裁判にかけられることになりました。アメリカには彼をケニアに引き渡すか、アメリカで裁判にかけるか、いずれかの選択肢がありました。まだ、起訴も行われておらず、彼がいつニューヨークに連れてこられるかも不明です。しかし、彼は最高で終身刑になる可能性があります。ここでも年齢の問題が起きています。当初、彼の年齢は16〜20歳だといわれていました。ロバート・ゲーツ国防長官は後に関係する4人の海賊は全員が17〜19歳だと述べました。彼が18歳よりも年齢が下なら、起訴するために追加の手順が必要になるのです。

 この記事は興味深いものです。イスラム系の国では年齢がはっきりしない場合が多く、過去にも被害者の年齢が分からずに問題となったことがありました。しかも、未成年者の裁判で手順を誤ることをアメリカ社会は許容しませんから、ここで間違いをやりたくないと、米当局は考えているはずです。また、拘留者の取り扱いに関するスキャンダルから、出来るだけ早く足を抜きたいと考えているオバマ政権としては、この事件ではいかなるミスも歓迎できないところでしょう。そして、この裁判はブッシュ政権が犯した誤りを廃し、オバマ政権は法を尊重することを世界へ、特にイスラム世界へ発信する格好の機会となります。そのために、ケニアに引き渡さずに、アメリカに連れてくることにしたのです。


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