韓国専門家:北朝鮮はICBMを開発

2009.3.16



 韓国の防衛技術コンサルティング企業テクノバリュー(Technovalue)のミサイル専門家ソン・ヤンワン(Sohn Young-Hwan)が、北朝鮮は3段ロケットをテストしようとしており、弾道ミサイルの開発を意図していると述べたと、space-war.comが報じました。

 「北朝鮮には人工衛星を持つ実際的な理由がまったくありません。ICBMを開発する努力の一環であるのは明白です」とソンは述べ、射程がICBMと相違がなく、打ち上げ成功はICBM用の機体を手に入れたことを意味すると主張しました。一方、火曜日に米国情報機関の長、デニス・ブレア(Dennis Blair)は、北朝鮮はその主張通りに、宇宙ロケットを打ち上げようとしていると述べ、それはICBMの技術と区別はできないと主張しています。「もし、3段式の宇宙ロケットが機能するのなら、アラスカやハワイだけでなく、ハワイ人が『本土』と呼び、アラスカ人が『陸続きの48州』と呼ぶものの一部にも届くでしょう」。

 実は、両者の主張は対立しているように見えますが、ほとんど同じことを言っています。ソン氏の主張に反論をするなら、ICBMの開発だけなら、東倉洞の発射施設を作る必要はなく、舞水端里の施設だけで十分です。液体式の3段ロケットは打ち上げ準備に時間がかかり、軍事用にはまったく不向きです。テポドン2号の発射施設を地下に建設したという情報はありますが、このように巨大なロケットが狭い地下サイロで打ち上げれば、自らが発する衝撃波で機体が壊れる恐れがありそうです。デニス氏がテポドン2号は宇宙ロケットだというのは、こうした点に着目しているのかも知れません。しかし、北朝鮮がテポドン2号を打ち上げれば、ICBMを開発する能力が向上するのは確かで、デニス氏は宇宙ロケットとICBMの技術は同じだと述べているわけです。

 このところのCNNをはじめとする報道で、北朝鮮はICBMを開発しているのに宇宙ロケットだと偽っているという認識が広まっていますが、これは米ソ中をはじめとしたほとんどの大国がやって来たことであり、珍しいことではありません。日本も高度なロケット技術を持っており、ICBMを開発できるとみなされてもおかしくない立場にあります。意外と、北朝鮮のロケット開発の順序が少々おかしいことには誰も触れません。同じロケットを改良しながら完成度を高めていくのではなく、次々と別の形式のロケットを打ち上げてみせるのには、デモンストレーションの意味合いを強く感じます。実際には、北朝鮮の意図は分かりませんが、普通はこういうやり方は用いられないものです。

 また、この記事で、専門家たちがテポドン2号を2段式ロケットではなく、3段式だと見ていることも分かります。国内報道の一部は、テポドン2号を2段式ロケットと主張していますが、実際には3段式と見られています。今回北朝鮮が発表した危険区域に3段目の落下区域が書かれていないのは、それが大気中で燃え尽きて危険が一切ないことを示しています。


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