地下燃料注入施設の情報が錯綜

2009.2.27



 テポドン2号に燃料を注入する施設について、東亜日報と聯合ニュースが異なる情報を報じています。

 毎日新聞によると、東亜日報は北朝鮮が「地下に液体燃料注入施設を建設した」と報じました。衛星写真を見る限り、地上にあるのは管理施設の建物だけで、2種類の燃料タンクは地下にあると考えられます。このため、地上での作業を衛星写真でキャッチするのは困難です。「北朝鮮は最も重要な発射準備をひそかに進めることができるようになった」という韓国政府筋の話も書かれていますが、燃料タンクが地上と地下のどちらにあっても、燃料注入を捉えるのは難しいことです。多くの国の発射施設が燃料タンクを装備していることから、舞水端里だけが特別だと考えるわけにはいきません。しかし、「1〜2日で燃料を注入できると推定される」という情報筋の見解は正確だと考えられます。

 一方、聯合ニュースは、軍情報筋の話として「ミサイル発射場でロケット推進用燃料を入れるドラムタンクは識別されていないと明らかにし、情報当局はこれをミサイル発射間近ではないという兆候だと見ている」と報じています。これは情報源の話を正しく解釈できていない可能性があります。ドラムタンクが車両に搭載されたものであれば、この記事は正しいのですが、北朝鮮は発射台の近くに地下に燃料タンクを建設したとみられています。また、「固体燃料を使用する可能性もある」とも報じていますが、これは固体燃料ロケットと液体燃料ロケットはまったく別の構造であり、テポドン2号は液体燃料式ロケットと考えられています。北朝鮮が液体燃料ロケットの開発に成功したという情報は、これまでありません。記事はこの見解の根拠として、今月2日にイランが「固体燃料での人工衛星打ち上げに成功した」ことをあげ、両国の技術協力関係から「北朝鮮も同技術を十分に確保した蓋然性は大きい」としています。しかし、サフィールロケットが固体燃料だという見解は初耳であり、にわかには信じられません。今、韓国から出てくる報道には不正確なものが多く、この記事も慎重に判断すべきと考えます。


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