旧ソ連の将軍がアフガン増派を疑問視

2009.2.14



 military.comによると、旧ソ連のボリス・グロモフ退役大将(retired Gen. Boris Gromov)が、オバマ政権のアフガニスタンへの増派を疑問視しました。

 グロモフ大将はアフガニスタンに侵攻したソ連軍の最後の指揮官でした。グロモフ大将は「アフガンは我々に貴重な教訓を与えました…これまでも武力で政治的な問題を解決するのは不可能であり、これからもそうでしょう。軍隊を増強してもしなくても、否定的な結果しかもたらさないでしょう」。最近、ロシアのNATO大使ドミトリー・ロゴジン(Dmitry Rogozin)も、連合国はソ連のアフガンでの過ちを繰り返して、さらに追加した、と述べました。ロシアの退役軍人オレグ・サモイロフ(Oleg Samoilov)はこう述べています。「私はその戦争(アフガン戦争)には、まったく意味を見出せません。我々は何をしましたか? 我々は何を成し遂げましたか? ほとんどなにもありません。死んだ人びと、死んだ戦友たち、彼らの母親と未亡人…それがすべてです」。

 金曜日に、ロシア議会は「英雄的行為、勇敢さと愛国心を見せた戦士の義務に忠実な兵士」に名誉を与える決議を採択しました。グロモフ大将のコメントはこれに合わせて出たようです。

 アフガンではそれほど戦果を期待すべきではありません。最終的には、政治的、経済的な手法が成果を出すはずで、軍事的手法はその補助に過ぎません。旧ソ連の経験がそのまま現在に適用できるかどうかは不明ですが、かなりの部分は共通しています。強力な中央政府を外国軍が支援して国を統治するというコンセプトを捨てるべきなのは明確です。冷戦以降、こうした手法が繰り返され、血が流され続けてきました。軍を派遣することがあるにせよ、従来の発想で問題を解決する手法は放棄されるべきです。対テロ戦争がそうしたパラダイムシフトを生み出すことが、犠牲者たちへのせめてもの慰めです。オバマ政権がそれを宣言できるかどうかで、この政権への評価の一つが定まると、私は考えています。

 他に、対テロ戦争に関連する記事を紹介します。

 military.comによると、民間軍事会社ブラックウォーター社(Blackwater Worldwide)が地に落ちた評判を回復するために社名を変更します。ブラックウォーター社の新しい社名は「zee」です。同社の子会社で、訓練を請け負っている「Blackwater Lodge & Training Center」は「U.S. Training Center Inc.」になります。同社のメモによると、これは安全保障関係の契約と手を切る新方針を示しているのだそうです。

 military.comによると、イラクのカルバラ市で女性による自爆攻撃があり、35人が死亡、65人が負傷しました(最新のCNNニュースでは、死者40人としています)。被害者の大部分は女性と子供でした。シーア派の巡礼者に対する攻撃が3日間連続しています。前日には、イマームフセイン神殿の近くで、釘を詰め込んだ爆弾で自爆攻撃が行われ、8人が死亡、50人以上が負傷しました。さらにその前日には、カルバラに向かう巡礼者に対する自爆攻撃が行われ、12人が死亡、40人以上が負傷しました。現在、預言者ムハンマドの孫フセインの死を記念した宗教行事アシュラ(Ashoura)の後に続く40日間の喪中です。フセインは632年にカルバラの近くで起きた戦いで死亡しました。この戦いはスンニ派とシーア派の分裂を導きました。一連の攻撃は、スンニ派がシーア派を挑発するために仕掛けたと考えられます。


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