米国務省が自国の麻薬対策を批判

2009.12.25

 military.comによると、米国務省の内部監察は注意不足と長期的な戦略の欠如を理由に約20億ドルをかけたアフガニスタンでの麻薬撲滅活動を批判しました。

 監察官はアフガン政府に人員が少なすぎること、極度の腐敗によって計画が妨げられているといいます。また、大麻畑を根絶することが重要であるという米当局間のコンセンサスにも関わらず、焦点がアフガン特使のリチャード・ホルブルックによって、麻薬組織と別の作物育成計画へシフトしたことを強調しました。69ページの報告書はアフガンとパキスタンの大使館が活動を十分に調整していないとも述べ、成功を判断するためのガイドラインを明確にし、スタッフを増やして、諸機関の協力を改善するよう勧告しました。

 時間がないために簡単にコメントしますが、以前にアフガン警察が大麻畑を破壊している記事が報じられました(記事はこちら)。その後、その方法ではダメで、農民に資金を提供する政策が報じられました(記事はこちら)。今回の報告書は畑の破壊をすべきとの趣旨のようです。どちらが正しい政策なのかは結論が出せません。この報告書をまずは読んでみるべきなのでしょう。しかし、この重大な問題に、米政府内でも意見が一致していなかったことは間違いがありません。対テロ戦には決定的な戦略がないといわれて久しいのですが、民生部門でも戦略がないとすれば、これは重大な問題です。歴史上、真の意味で他国を立て直す戦略を持った国はなく、それと見せかけて自国の利益になる戦略を行う誤魔化しが行われてきたのです。だから、アメリカにアフガンの麻薬対策がないとしてもおかしくはありません。これは人類が総動員で考え直すべき重大問題なのです。


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