アフガン軍への志願者が急増

2009.12.11

 military.comによれば、今月、カルザイ大統領が、アフガニスタン軍は5年間以上は米軍に取って代わることはできないだろうと述べたあとで、アフガン軍に志願する者が急増しました。

 秋はアフガン軍の徴募はスランプに陥っていましたが、アフガンの訓練任務の責任者、ウィリアム・B・コールドウェル中将(Lt. Gen. William B. Caldwell)とアフガンで2番目の指揮官デビッド・ロドリゲス中将(Lt. Gen. David Rodriguez)は急増の原因を、オバマ大統領の18ヶ月後に米軍が撤退を開始することを述べた演説ではなく、給与の増額が約束されたことに帰しました。12月の最初の7日間で2,659人がアフガン軍に志願しました。これに比べて、9月全体の志願者数は831人でした。最近、アフガン政府はヘルマンド州に派遣された新兵の月給を180ドルから240ドルへ増額しました。タリバンの月給は250〜350ドルの間とされています。

 また、コールドウェル中将(Lt. Gen. William B. Caldwell)と、アフガンで2番目の指揮官、デビッド・ロドリゲス中将(Lt. Gen. David Rodriguez)は記者に、タリバンがすでに2011年の撤退期日を宣伝に活用し、住民にアメリカは弱く、戦争に負けようとしていると示唆していると述べました。

 これはよいニュースとも悪いニュースとも読み取れます。タリバンよりも給与が安くても、政府軍に志願する者が急増したのは、240ドルあれば、家族に十分な生活をさせられるからです。タリバンよりは給料が安いとしても、経済的問題が解決されるのなら、より意義深い仕事に関わりたいという考えが、アフガン人の中にあることは期待が持てます。しかし、アフガン人が米軍が18ヶ月で撤退を開始することに反応していないのは、悪いニュースかも知れません。ワシントンが苦心して決めた戦略判断など、アフガン人は知ったことではないわけで、彼らは食うのに手一杯なのです。これは彼らには健全な発想かも知れませんが、アメリカと協力関係を築く上で障壁になるかも知れません。このニュースには呉越同舟なのか、同床異夢なのか分からない部分が含まれているわけです。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.