独軍大将が「空爆は正当」と主張

2009.10.31

 military.comによれば、ドイツ軍の監察総監、ウォルフガング・シュナイダーハン大将(Gen. Wolfgang Schneiderhan)は、9月3日にアフガニスタンで起きた誤爆事件について、爆撃は正当だったという個人的な見解を表明しました。

 シュナイダーハン大将は機密扱いの報告書を読み、ギオルグ・クレイン大佐(Col. Georg Klein)が要請した空爆は、クレイン大佐がタンクローリーが自爆攻撃に使われることを恐れたためで、正当だったと記者に述べました。フランスの外務大臣バーナード・コウチナー(Foreign Minister Bernard Kouchner)は、空爆は「大変な間違い」と、EUの外部関係委員ベニタ・フェロー・ワルドナー(EU External Relations Commissioner Benita Ferrero-Waldner)は「大きな、大きな悲劇」と評しました。「困難な状況を考慮すれば、ドイツの兵士たちが正しい軍事的手段を講じたことに疑いの余地はありません」と述べ、報告書は死者と負傷者の数を確認するには時間が経ちすぎ、何人が民間人だったかを判断するには時間が経ちすぎたと結論し、無関係な人々が殺害されたことを認めていると述べました。報告書によれば、17〜142人が死亡または負傷し、地元の指導者の言では、死者と負傷者の数は30〜40人の間です。

 記事には、ドイツは任務に空爆を用いることに対して批判的な国だったとも書いてあります。しかし、自分たちがミスを犯すと、たちまち「悪いのは武装勢力であり、我々は悪くない」という立場に転じたわけで、私はこういう点に着目します。これがドイツ国内で起きた誤爆事件だったら、こんな結論では済まされないでしょう。マクリスタル大将は、民間人が現場にいる場合、空爆を避けるという方針を打ち出しており、この事件はその後で起こりました。事前に上空を航空機が通過して警告を発するという新方針が実行されたのかどうかは、この記事には書かれていません。紛争に首を突っ込むと、純粋に第三者の立場を貫くのは難しいのであり、この事件はその典型です。ドイツのように、憲法で戦争を禁止していても紛争に軍隊を派遣してしまうと、こういう余裕はなくなります。

 これは日本についても言えます。最近、日本では自衛隊を紛争地域に派遣して、国際平和を望む日本の立場を示せという声が聞こえてきます。しかし、紛争と無関係であることのアドバンテージも考えるべきです。防衛省と外務省がタッグを組んで、非軍事的な手法で国際紛争の鎮静化を図っていくという政策があるべきです。むしろ、自民党が政権復帰を望むのなら、同党が検討すべき政策といえます。


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