イギリスがアフガンに500人を増派

2009.10.15

 military.comによれば、イギリスのゴードン・ブラウン首相(Prime Minister Gordon Brown)は、アフガニスタンに約500人の兵士を派遣することを決めました。

 英国下院で首相は正確な数字をあげませんでしたが、アフガン駐留英軍が9,500人に増加すると述べたため、増員数の概数が明らかになったものです。部隊は準備でき次第、派遣されます。また、パキスタンとアフガニスタン両国への資金として、約1千万ポンド(1千6百万ドル)を約束しました。アフガン従軍経験を持つリチャード・ケンプ大佐(Col. Richard Kemp)は、この部隊がヘルマンド州へ送られるだろうと述べました。

 なお、水曜日に公表された世論調査によれば、回答者の36%が、英国軍がアフガンを去るべきだと答え、9月中旬の29%から上昇しました。調査は10月9日〜10月11日に行われ、1,509人の成人から回答を得ました。誤差範囲はプラスマイナス3%です。今週、英国国会が夏季休暇を終えて開会されます。この期間にアフガンで殺害された37人の軍人の氏名を読み上げることから審議が始まります。

 増員するのはともかく、その目的などが分からないのが問題だと感じます。もちろん、記事には、アルカイダの攻撃を防ぐためだといった理由は書かれていますが、こんなことは能書きと言うべきで、何ら具体的な計画とは言えません。この種のセリフは2001年から聞き飽きているのです。これでは、単に軍事活動をだらだらと継続しているとしか言えません。それでも、イギリス政府は戦死した兵士の氏名を国会で読み上げるという追悼だけは忘れていません。イギリスは過去に海軍立国だった時期があるので、軍事活動の重要性を認識しています。事の善し悪しは別として、これが日本だったらどうしたのかという気がします。イラク派遣で自衛隊に戦死者が出ていたら、国会でこのような追悼を行ったのでしょうか?。こうした儀式は過去に例がないと記憶します。戦略はなくても儀礼は欠かさないイギリス政府と、戦略も儀礼もない日本政府は、どちらがまともなのでしょうか?。もちろん、戦略はともかく、儀礼は戦争という極限的な行為の前では、ほとんど意味がないほど小さなことですが…。

 ところで、TBSラジオの番組「アクセス」が、来る21日に番組内で「軍事評論家座談会」を催します。神浦元彰氏、小川和久氏、石破茂元農水大臣の3人がゲストです。この3人が対談するのは、過去に聞いたことがありません。関心のある方はお聞きになるとよいでしょう。番組を聞くだけでなく、電話で対談に参加することができます。私は聞くだけにしますが、番組に参加して盛り上げる方がいると、なお楽しいかも知れません。この対談はインターネットでも配信されます。


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