パキスタンの核兵器が武装勢力に渡る可能性

2009.10.14

 military.comによれば、先日のパキスタン陸軍司令部への攻撃により、同国の核兵器の保管に関して疑問が浮上しています。

 パキスタン軍はタリバンやその他の武装勢力から核兵器が攻撃されるを防ぐために、弾頭と起爆器、ミサイルを別の場所に保管し、エリート兵に守らせてきました。これらの兵器の安全度について、専門家の意見が分かれています。一部は核兵器は5年前よりは安全ではなくなったと言います。あるアナリストは、武装勢力を支持する科学者がこうした施設で職を得て、武装勢力に情報を手渡す危険性を指摘します。しかし、十分な指揮統制メカニズムがあるため、タリバンが核施設の中に入り込んで統制下に置くことはないだろうと、ロンドンのシンクタンク「チャザムハウス(Chatham House)」のガレス・プライス(Gareth Price)は言います。米国科学者連盟(the Federation of American Scientists)の各情報計画の責任者ハンス・クリステンセン(Hans Kristensen)は、パキスタンは70〜90個の核弾頭を持っていると述べます。イギリスのブラッドフォード大学、ショーン・グレゴリー(Shaun Gregory)は、核ミサイルが保管されていると信じられるサーゴダ(Sargodha)の空軍基地と核兵器ミサイルが組み立てられていると信じられるウワ(Wah)の宿営地の近くで武装勢力が攻撃を行ったと述べます。この攻撃は核兵器を狙ったものではないとされます。たとえ、核兵器がテロリストの手に落ちても、起爆できないように電子的な鍵がかけられています。核兵器を警護する士官は過激主義者とのつながりが少ないパンジャブ人から選ばれて、モニターされています。核兵器に関する決定や行動は2人以下では行うことができません。それでも、グレゴリー氏は嫌疑のない士官と過激主義者の共謀の可能性があると主張します。

 時間がないので記事の後半は省略します。パキスタンの核兵器が危険にさらされていることは、以前から指摘されてきましたし、このサイトでも取り上げてきました。タリバンが単に核兵器を奪取しても、彼らがそれを起爆する可能性はありません。要するに、自動小銃と違って、核兵器は所有する国家の非公開技術で作られているからです。自動小銃は使い方は分かっていますから、いつでも発砲できます。しかし、核爆弾は使い方が分からないので、タリバンにはどうしようもありません。しかし、彼らが使い方を知る者を捕獲し、使い方を聞き出したり、操作するよう命じるならば、起爆する可能性はあります。もちろん、パキスタン軍は使い方が知る者であっても、複数の者が操作しないと起動できないようにするなど、工夫を施しているはずです。たとえば、パスワードを数名が入力して、はじめて起爆できるようにするわけです。しかし、これらの情報が武装勢力の手に落ちた場合、極めて危険な状況が生まれます。そういう心配が軍司令部に対するテロ攻撃で再燃しているわけです。


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