ガザ侵攻:情報不足が戦闘の膠着化を暗示

2009.1.9



 ガザ侵攻の戦況はイスラエル軍が情報を制限しているため、明らかではありません。

 2006年のレバノン侵攻時とは大きく違っています。現在までに分かっている戦況は軍事分析をするためには不十分です。こういう場合でも、国内メディアは情報不足だと言いませんから、国民は問題意識を持つこともありません。13日、イスラエル軍の戦車部隊がハンユニスに入ろうとしたことがguardian.co.ukのインタラクティブマップにより明らかになりました。中部地域の戦闘も明らかに遅延しています。しかし、なぜ遅延しているのか、具体的な理由は報じられていません。ガザ市の戦闘に関しては何も情報がありません。情報がないことが異常事態です。イスラエルは戦果を強調し、強さを誇示することで、この戦争を有利に進めなければなりません。しかし、地上戦を始めてから6日間も経ったのに、ガザ市内何kmに進出したという話が出てこないのです。これは発表するだけの戦果がないことを連想させます。一番詳しいglobalsecurity.orgの12日目の戦況レポートでも、このことは分かりません。兵士は武器や爆発物の貯蔵庫を見つけ、仕掛け爆弾、トンネルを除去していると書かれていますが、それがどれくらい進んでいるのかは書かれていません。断定できないものの、イスラエル軍がハマスに前進を阻止されている可能性を考えざるを得ません。CNNは、イスラエル高官の話として、ハマスがロケット弾を発射している地域の7割を占領したことを報じています。さらに情報を調べ、状況がどうなっているのかを考えていきたいと思います。

 それにしても、パレスチナ側の死傷者は異常な早さで増えています。実際の数字は、公表されている数字よりもさらに大きいはずです。イスラエル軍はほとんど市民の安全を無視して戦闘を進めていると解さなければなりません。

マップは右クリックで拡大できます。


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