経済危機が国防予算を圧迫

2009.1.30



 military.comによると、統合幕僚議長マイケル・マレン海軍大将は、財政危機をイラクとアフガニスタンの戦争の最優先事項であり、より大きな危険であると述べました。

 マレン大将は3つの優先事項をあげました。1つ目は、派遣期間と休養期間の割合の問題で、これは先日紹介したので省略します。

 2つ目は、経済危機が国防予算に及ぼす影響です。昨年秋、議会は銀行を救済し、金融市場の悪化を和らげるために、7,000億ドルの救済基金を承認しました。この金額は昨年の国防予算にほぼ匹敵すると、マレン大将は述べました。さらに、景気刺激策の8,000〜9,000億ドルにもマレン大将は言及しました。これらが安全保障問題に大きな影響を与えるはずだと大将は言い、国防予算への出費が抑えられ、給与、住宅と兵舎、基地での買い物、家族支援、危険手当、勤労年齢(65歳以下)の退役軍人のTRICARE料金などが対象になるだろうと述べました。「TRICARE」はアメリカ国防厚生管理本部が提供する健康・医療サービスです。

 3つ目は負傷者、戦死者とその家族の支援です。

 米議会では、経済危機により、節約できるものはできるだけ節約する方向で議論がなされており、マレン大将は、できるだけ兵士の負担が増えないようにしたいと述べ、士気の停滞を防ごうとしているのです。ただ、その内容を見ると、タリバンなどには望みようもない贅沢なもので、ちょっと心配になります。現に、戦地の基地では、バイキング式の食事で体重が重くなり過ぎた兵士が増えているといいます。米軍の待遇は、我々の意識とはかけ離れたところにあるようです。それでも、軍政家である統合幕僚議長としては、こう言わないと仕事をしていることにならないわけです。


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