IAEAがガザ地区で劣化ウラン弾を調査へ

2009.1.23



 space-war.comによれば、IAEAのサウジアラビア大使から国際原子力機関(IAEA)へ、イスラエルがガザ地区で劣化ウラン弾を使用した疑いが提出され、IAEAは調査を開始することになりました。この手紙は複数のアラブ諸国によって作成され、サウジ大使を通じて提出されました。イスラエルのIAEA大使はコメントを拒否しています。

 手紙の内容は不明ですし、調査はこれから行われるので、現在までにどのような証拠が見つかっているのかは分かりません。ハマスは戦車を持っていないので、ガザ侵攻には強力な徹甲弾は必要はありませんでした。しかし、それはイスラエルが劣化ウラン弾を使わなかった証明にはならないので、IAEAが調査を行うわけです。

 劣化ウラン弾は最も強力な貫通能力を持った戦車用砲弾ですが、目標に命中した際に劣化ウランの塵を出し、これが健康被害をもたらすという疑いが持たれています。現在までに、この疑惑は十分に解明されておらず、各国は劣化ウラン弾の健康被害を認めていません。イスラエルの主力戦車「メルカバ」は劣化ウラン弾を撃つことができ、イスラエルがアメリカから劣化ウラン弾を購入しているといわれていますが、実際に使用したかどうかは不明です。2006年のレバノン侵攻では、イスラエルが空爆した場所から濃縮ウランが検出され、バンカーバスターやその他の新型爆弾の使用が疑われたことがありますが、戦車砲で劣化ウラン弾が使われたことは明らかではありません。IAEAがどのような調査結果を出すのか、非常に気になるところです。


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