ガザ侵攻:停戦実現は希望薄

2009.1.17



 イスラエルがハマスを抜きにして一方的な停戦を決める見込みだという報道が流れています。ハマスは依然として停戦案を拒否しており、ハマスの武器密輸について、アメリカとエジプトの協力が得られる見込みとなったのでハマスを抜きにして停戦に踏み切るというのです。

 この段階で停戦するのは、双方にとって不利であり、イスラエルが本当に停戦に持ち込むかは不明です。ガーディアン紙の戦況マップも、まだイスラエル軍がガザ市内に十分に侵入できていないことを示しています。イスラエル軍のレポートでは、同軍は着実に戦果を出しており、毎日のようにハマスの戦士を殺害し、その拠点や武器庫を破壊しています。しかし、停戦するには、もう少しはっきりとした戦果を得る必要があります。停戦を拒否しているハマスは、イスラエルが一方的に停戦を宣言して撤退しても、「イスラエルは激しい抵抗の前に占領を断念した」と言うことができます。「イスラエル兵はガザ市の中心部に歩を進めることはできなかった。彼らにできるのは、空から爆弾を落とすことだけだ。奴らは腰抜けだ」と言えるのです。このまま停戦すれば、中東全域に「ハマスは善戦した」というイメージを残し、将来のイスラエルに対する敵対行動を促進しかねません。特に、アルカイダはこれを宣伝のために最大限に利用するでしょう。この停戦は将来の紛争の原因にしかならないのです。国内メディアの多くは、持続的な停戦が近いと報じています。しかし、ワシントン・ポストは、現在の停戦案は停戦期間を10日間と定めており、ハマスが攻撃してくれば破棄すると書いています。停戦はハマスが一発撃つだけで消滅するのです。

 中部と南部の戦況は未だに不明です。本来なら、イスラエルは早急にラファを占領して、トンネルのガザ側の出口をすべて押さえたと発表したいはずですが、なぜかそれが行われていません。ガザ市に攻撃を集中すれば、パレスチナ人を抹殺しようとしているように見え、軍事行動の正当性が疑われるだけです。

ガザ侵攻に関する重要な情報源

マップは右クリックで拡大できます。


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