ガザ侵攻:戦況はいよいよ暗闇の中へ

2009.1.10



 ガザ地区の戦況については、ほとんどが住民の被害を伝えるニュースになり、判断の材料になる情報が乏しくなっています。

 8日の戦況を伝える情報として、globalsecurity.orgのレポートを見てみました。イスラエル南部にレバノン側からロケットが撃ち込まれた事件は、パレスチナ解放人民戦線総司令部派(The Popular Front for the Liberation of Palestine-General Command)が犯行声明を出しました。イスラエル空軍はラファからのロケット攻撃の責任者ヤセル・ナタット(Yasser Natat)、ハンヨナス旅団(the Han-Yonas Brigade)の旅団長ムハマンド・サニュア(Muhammed Sanuar)の自宅を爆撃しました。爆撃した場所は、10カ所以上の武器貯蔵所、イスラエル軍を直接攻撃している15の部隊と壕、モスクなど、60カ所にのぼりました。イスラエル陸軍のフィア旅団(Kfir Brigade)の中隊長ロイ・ロスナー大尉(Captain Roi Rosner)が、中部戦域において対戦車ミサイルにより戦死しました。

 戦況分析に使える情報は少なく、ガザ住民の被害や停戦決議に関連する記事ばかりです。ロスナー大尉の戦死は、中部のハンユニス付近で激しい戦闘が行われていることを連想させます。しかし、報道で流れるのはガザ市の情報が中心で、中部と南部の戦闘がどうなっているのかは、ほとんど報じられません。戦闘が終わるかどうかを判断するには戦況を検討する必要がありますが、その情報が極度に不足しています。イスラエル軍は意図的に戦況に関する情報を隠し、ネットで配信する映像などで、世界中の認識を自国に有利な方向へなびかせようとしているように見えます。不利な戦況を隠すことで、イスラエル国民がぶれるのを防ぎ、ハマスの戦意が高まるのを防げます。その内、決定的な情報が出てくるはずですが、現状ではほとんど何も言えません。強いて言えば、それがこの戦争の特徴です。


マップは右クリックで拡大できます。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.