ヒューストン徴募大隊で自殺者続出

2008.9.30



 military.comによると、ヒューストン徴募大隊(the Houston Recruiting Battalion)で自殺の多発が問題視されています。

 2001年以降、この大隊はラリー・G・フロレスJr.2等軍曹(Staff Sgt. Larry G. Flores Jr.)とパトリック・G・ヘンダーソン3等軍曹(Sgt. 1st Class Patrick G. Henderson)によって、4人目と5人目の自殺者を数えました。陸軍の精神科医は事態を重視し、この大隊以外に全国的な問題があるかどうかを確認すべきだと警告しています。ヒューストンの徴募部隊は全米でトップの一つです。この大隊の徴募官によると、毎日12〜14時間、週6〜7日間の勤務が通常で、ノルマは月に2人の入隊見込み者の署名です。この勤務状態では、精神科医に通って精神的衛生を求めることができない点が問題視されています。部隊指揮官は取材を拒否しました。軍は対策を講じているようですが、まだ準備段階です。

 イラクよりも徴募官の方が過酷な勤務を強いられています。先にあげた2名は、イラクでの勤務経験を持つベテラン兵でした。この問題は勤務時間を減らすことで簡単に解決できるはずです。要は、リフレッシュする時間が少なすぎるから、ストレスが溜まり、我慢できないほどになるのです。自由な時間を持つか、カウンセラーに通うなど、十分な時間を持つことで問題は解決できるはずなのです。問題は「銃後の守り」という概念にあります。最前線にいる兵士に比べると、徴募業務など簡単な仕事で、普通よりも多くやるのが当然だという発想がストレスを生むのです。徴募業務も集中力を要する仕事なのです。それをこれだけ長時間行えば、耐えられなくなるのは当然です。自殺した隊員の中には、自宅近くの林に数人のイラク人がいるのを見たという者がいたといいます。明らかに妄想であり、これらを放置したのは重大なミスです。戦地でPTSDの原因が生まれ、それが徴募業務で悪化した可能性もあります。

 過酷な労働時間は人手不足が原因かも知れません。戦闘部隊に多くの兵数が取られ、後方支援部隊の人手が不足するので、勤務時間が過酷になるのです。また、戦地で死傷して、部隊から除籍される者が増えているため、軍は新兵を必要としています。その需要に応えるために、過酷な徴募業務が常態化するのです。


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