行き詰まったビンラディンの捜索

2008.9.11



 ワシントン・ポストによると、アメリカはオサマ・ビンラディンを捜索する戦術に挫折感を感じています。

 この記事は、ビンラディンの捜索は、アメリカに敵意を抱くパシュトゥン人、アメリカの戦略の不徹底、非協力的なパキスタン情報部、イラク戦争という戦略ミスなどにより、行き詰まっていると述べています。この記事は長いので、私が気になるところだけをコメントします。

 無人攻撃機プレデターによるパキスタン国内でのヘルファイヤミサイルによる攻撃の数は、2007年には3回だったのが今年は11回に増えました。ビンラディンの消息は2001年12月にアフガニスタンのトラ・ボラ近郊の戦いから逃れて以来、分かっていません。現在、米軍はビンラディンに近い僅かな指導者の捜索に集中しています。現地に住んでいるパシュトゥン人は、空爆で民間人に犠牲が出ているため、アメリカ人に対して敵意を抱いています。アルカイダの指導者には2千5百万ドルもの報奨金をかけているのに、誰も密告してこないのです。

 この記事は、この地域での地上戦の難しさを示しています。パシュトゥン人がまったく協力してくれないのでは、情報は集まらないし、降下した米軍を攻撃してくる恐れすらあります。この記事で一番気になったのはこれです。地元民の協力なしに、地上戦が成功しないのは、アフガンの実例で明らかです。今後、増加するパキスタン領内での地上戦の前途は極めて困難だと考えられます。


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