ロシア軍が警備地域を強化中

2008.8.21



 military.comによれば、グルジアからのロシア軍の撤退はごく僅かしか確認されていません。ロシア軍はグルジアに地歩を固めるつもりのようです。

 ゴリから少数の派遣隊が撤退したことが確認された以外、ロシア軍の撤退は確認されていません。それどころか、グルジア中央部で、ロシア軍は少なくとも3カ所の露営地を建設中です。トビリシから30マイル(約48km)の位置にあるイゴエチ(Igoeti)では、山の上に材木で歩哨拠点が作られています。ロシアのアナトリー・ノゴヴィシン上級大将(Col. Gen. Anatoly Nogovitsyn)は、ゴリから25マイル(約40km)の位置に設けられる暫定的な警備地域に、18カ所の検問所を二重に設け、270人の兵士を配置すると述べています。私には、これらの検問所は、不審者の通行を防止するというよりは、グルジア軍が動いた場合、直ちにロシア軍に知らせ、行動を起こすための偵察拠点と見えます。

 一方、トルコは、グルジアに人道支援物資を届けるために黒海に向かっている米軍の艦船が、ボスポラス海峡を通過する許可を出しました。米上院軍事委員会(U.S. Senate Armed Services Committee)の代表団がグルジアを訪問して、被害の実態を調査しています。イラク戦に足を取られているアメリカには、この程度のことしかできないのです。

 ロシア軍の一連の動きは、警備地域を警備する必要があるという名目を立て、長期間の駐留を狙うものです。おそらく、ゴリからの本格的な撤退は、警備地域の検問施設が完成してからで、22日までに撤退するというロシア軍の発表は、それを指しているのだと考えられます。ゴリ周辺にいる部隊は、警備地域の建設が妨害されないよう、グルジア軍を近づけない任務を負っています。警備地域が完成すれば、ロシアは紛争前よりも多くのクサビをグルジアに打ち込んだことになります。そこで、ヨーロッパ側は、ロシア軍をできるだけ停戦監視から遠ざけようとします。そのために、ロシア軍の違法行為を洗い出し、追求する方法を使うはずです。

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