米軍がイラクでフランスの手法を採用

2008.7.30



 米軍がイラクで取っている戦術について、space-war.comが報じました。現在、米軍はフランスが半世紀以上前にアルジェリア独立戦争(1954〜1962年)で用いた手法を応用しています。

 バグダッド北東、ディヤラ州(Diyala)の州都バクバ(Baquba)での治安を向上させる方法として、米軍は住民への支援を強化していることが紹介されています。アルジェリア独立戦争では拷問も用いられましたが、それは使われていません。

 兵士たちはパトロールを行い、家屋を捜索しますが、それだけでなく、電気、水、仕事といった正確に必要な物について住民と話し、上官に報告します。

 ある米軍将校はロジャー・トゥリンクィア(Roger Trinquier)が書いた「近代戦:対武装勢力についてのフランスの考察(Modern Warfare: A French View of Counterinsurgency)」を引き合いに出しました。アルジェリアとインドシナでの戦争の経験があるトゥリンクィアは「近代的な戦争に勝つ効果的な手段は、無条件に大衆の支援を保証することだ」と述べています。

 デビッド・ペトラエス大将(General David Petraeus)は、フランス人専門家デビッド・ガルラ(David Galula)が書いた「対武装勢力戦:理論と実際(Counterinsurgency Warfare: Theory and Practice")」を部下に読むように命じました。ガルラは「武装勢力から大儀を奪うことは、その国の基本的な問題を解決するのに重要である」と述べました。

 ちょっと信じられない気分です。前に、民生を支援したり、武装勢力が戦う理由をなくすことが重要だと書きました。米軍が部分的にそうした試みを行っていることは知っていましたが、完全に変化しているとは知りませんでした。この記事だけでは、活動の内容がまだ十分に分かりません。単なるリップサービス程度なら、実効的な意味はありません。しかし、米軍が本気で戦術を変えるのなら、未来に少しは期待が持てます。

Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.