元アグレイブ収容者が請負業者を告訴

2008.7.2



 military.comによると、イラクのアブグレイブ刑務所の抑留者だった4人が民間軍事会社の社員を告訴しました。イラク人3人とヨルダン人1人が2003年と2004年にアブグレイブ刑務所に拘留されていた時、米国防総省の請負業者から拷問を受けたと訴訟を起こしたのです。

 3件の訴訟が、シアトルとコロンバスの地裁に、もう一つの訴訟はデトロイトに出されました。告訴された企業は、「CACI International Inc.」と「L-3 Communications Corp.」の二社で、CACI は告訴の内容は虚偽だと言い、L-3 Comはコメントを拒否しています。

 イラクの農民、スワリ・ナジム・アブドゥラ・アル・シマリ(Suhail Najim Abdullah Al Shimari)はCACIの尋問官ティモシー・L・デューガン(Timothy L. Dugan)から、電気ショックを受け、殴打され、食物と睡眠を制限され、犬を使った脅迫を受け、裸にされ、髭を剃られ、デューガンを見続けるように強制されたと主張します。

 他にも、さまざまな拷問の実態が書かれていますが、時間がないので省略します。

 こうした拷問はテロ活動を正当化するのに役立つだけです。植民地独立運動はいまでこそ、非暴力主義だったとみなされていますが、初期においてはテロリズムそのものでした。宗主国はそれを弾圧しようとして、様々な手段を講じました。しかし、そうした弾圧が行われた結果、独立運動側にも理があるという認識が高まったのです。パレスチナ運動も、現在は国際的に認められていますが、最初はそうではありませんでした。「国際社会がテロに屈した」事実を信じたくない人がいるかも知れませんが、それが歴史です。信じられないのは、自分が知っているよりも前の時代に対して、私たちは認識度が低いためです。これはテロに屈したのではなく、存在を否定できなくなったと考えるのが妥当です。結局、完全に相手にすべての責任がある場合でない限りは、殲滅すべき敵だと決めつけることはできないのです。こうした変化が起きるまでは、実に複雑なプロセスを辿るので、おそらく、将来、いまを振り返ってみても、当時はそのことを予見できなかったと考える人が多いことでしょう。

 信じたくないことかも知れませんが、将来、アルカイダが現在のPLOのように国際社会に認知された存在になる可能性は十分にあります。ブッシュ政権が、その道筋をつけたのです。

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