アフガンで米兵9人死亡の詳細

2008.7.14
同日15:00追加



 アフガニスタンで武装勢力の攻撃があり、9名の米兵が死亡、15人が負傷し、アフガン兵4人が負傷したことが、今朝のテレビニュースで報じられました。military.comが、その詳細を報じています。

 戦闘があったのはパキスタン国境地帯のクナール州(Kunar)北東の山脈の中にあるワナット村(Wanat)で、武装勢力は家やモスクから機関銃、RPG、迫撃砲を使って米軍の前哨基地を攻撃してきました。攻撃開始時刻は午前4時30分で、日中ずっと継続しました。

 NATO軍は、最終的な評価は出ていないけども、武装勢力は多大な犠牲を被ったと考えられると発表しています。米軍の広報官は、戦闘はまだ続いており、コメントできないと回答しました。

 情報が限られていて、戦闘の状況はよく分かりません。武装勢力が多方面から攻撃した(A multi-pronged militant assault)と書かれていることから、勢力が基地を囲めるほど大きかったことが推測できる程度です。米軍がどのような反撃を行ったのかは書かれていませんが、武装勢力に多数の被害が出たのなら、空爆か砲撃が行われたと考えるのが常識です。

 基地の中にいたのに、米軍がこれほどの被害を出した理由も不明です。迫撃砲のまぐれ当たりだけで、これほどの被害が出るとは考えにくいものがあります。手薄の米軍基地に大勢で襲撃を行ったことが理由かも知れません。守備側が攻撃に対処しきれないほど大勢で攻撃すると、指揮官が効果的な防御方法を指示できない状態となり、兵士が個々に反撃する形になります。こうした時間が長く続くと、適切な対処ができなかった兵士が被弾する可能性が増えます。

 当然、守備側は武装勢力がいる場所に対する砲爆撃を要請します。砲爆撃が功を奏する前に、守備側が大きく被害を出したのでしょう。最近、空母と強襲揚陸艇がアフガン沖に移動しています。海軍機の支援が受けられるのに、有効な反撃ができなかったのは、ひょっとすると悪天候で攻撃機が飛べなかったのかも知れません。戦場が山岳地帯なので、霧や風などで視界が悪かった可能性はあります。アフガンはほとんどが乾季と雨季のある亜熱帯気候ですが、高原地帯は高原気候です。砲撃による支援が得られず、空軍機も飛べない状況があったのかも知れません。

 記事には、最近のテロ攻撃もリストアップされていますが、その激化ぶりには驚かされます。米大統領選を控え、イラクでのテロ激化を心配していましたが、アフガンの方が心配な状況となってきました。

 新しい情報を追加します。

 space-war.comの記事によると、空軍の支援はすぐに要請され、実際に空爆が行われ、民家が破壊された事実があります。武装勢力はよほど大勢で攻撃したと見るべきかも知れません。未確認ながら、戦死した武装勢力2人はチェチェン人だったという事実も気になります。

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