金剛山事件:北朝鮮が嘘を報告か

2008.7.12



 北朝鮮が韓国人女性を射殺した事件で、嘘をついた可能性が出てきました。韓国紙ハンギョレ新聞が目撃談を報じたのです。

 海岸でキャンプをしていた大学生によると、被害者の女性が海岸を北へ散歩するのを午前4時50分に目撃し、その5〜10分後に銃声と悲鳴を聞き、倒れた女性と北朝鮮軍兵士3人を見たということです。目撃者は現場から200〜300mの距離から目撃しました。

 目撃者は現場から200〜300mの距離にいたのだから、フェンス近くでキャンプしていたことになります。女性は倒れた場所の近くで北朝鮮軍兵士と遭遇し、すぐに撃たれた可能性があります。

 これが本当なら、被害者が1kmもフェンスを越えて入り込んだという北朝鮮の説明は、発砲の正当性を本当らしく見せかけるための嘘だったことになります。フェンスの近くで発砲したよりは、1km入り込んだ監視所の近くまで被害者が来ていたことにした方が、自分たちの不備を指摘されにくいと踏んだのでしょう。実に北朝鮮らしい嘘です。

 これなら、被害者が遠くまで行ったことや、短時間で1kmも歩いた疑問が解消できます。

 北朝鮮の嘘は、いまに始まったことではありません。それよりも、この報道が、事件処理がこじれる可能性が出てきたことを示唆する点が重要です。それが北朝鮮問題に与える影響を考えなければなりません。

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