トルコがイランとの連携を認める

2008.6.6



 昨日紹介したイランによるクルド人地域への砲撃は、トルコ軍との協調の下に行われたとmilitary.comが報じました。トルコ軍によると、彼らはイラン軍は情報を共有しており、必要ならまた攻撃を行うとしています。

 先の砲撃は、クルド労働党(Kurdish Workers Party: PKK)の協力組織、クルドの自由な生活党(the Party of Free Life of Kurdistan: PJAK)に対して行われました。イランとの連携を認めたのはトルコ軍の最高指揮官イルカー・バスバグ大将(General Ilker Basbug)で、すでに1〜2ヶ月前から、こうした共同作戦を行っていたということです。

 これはかなり衝撃的な事実です。先に私が書いたとおり、クルド人はイラン領内で攻撃活動を行っていると記事は書いています。トルコは利害が一致するイランと手を結んだようです。トルコとアメリカは情報を共有していることから、アメリカの情報がイランに流れる危険性を、アメリカは考えざるを得なくなるでしょう。私がアメリカの対応が難しくなると書いたのは、クルド、トルコ、イランの三つどもえの戦いになると、アメリカが介入しにくくなるという意味でした。しかし、この場合、トルコとイランが協調することは想定せず、三者がそれぞれに戦いを続けることをイメージしていました。事実は私の想像を超えていました。しかし、軍事的には十分にあり得ることです。やはり、物事は道理の通る方に流れるものだと痛感しました。

 湾岸戦争の時、ヨルダンが中立を宣言すると、アメリカからは「裏切り者」という声があがりました。ヨルダンの中立は地勢的にやむを得ないと私は考えましたが、アメリカの反応は手厳しいものでした。しかし、トルコに向かって同じことは言えないでしょう。

 クルド人組織のイラン国内での活動に関する情報が欲しいところです。メディアを通しては、本当に一部の情報しか見えません。現地でなら、もっと良質の情報が手に入るのにと思います。

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