GAOがパキスタンへの軍事援助を批判

2008.6.26



 military.comによると、米政府がパキスタンに送った対テロリスト資金60億ドルの使途が不明・不適切だと、米政府説明責任局が明らかにしました。

 アメリカは2001年のテロ攻撃以降、パキスタンに108億ドルを供与しました。その内56億ドルはパキスタン軍の軍事活動を補償するために使われました。政府説明責任局(the Government Accountability Office)は、一例として、対空レーダーの費用として送った2億ドルは、その必要性についての調査が行われていないことをあげています。道路と地下壕の建設費4千5百万ドルは、建設が行われたという証拠がありません。米国防総省は政府説明責任局がパキスタンの対テロ戦争への貢献を低く評価していると反論しています。しかし、政府説明責任局は同省がパキスタンに渡した金額の総計を正確につかんでいないとも指摘しています。

 言うまでもなく、アルカイダは空軍を持っていません。下院外交委員会では、それなのに米政府は対空レーダーの費用をパキスタンに譲渡したことを批判しています。確かに、世界貿易センタービルには民間機で突入しましたが、パキスタンでそれを行う理由はほとんどありません。従って、レーダー建設費用は、パキスタン空軍の防空能力の向上に役立ったことになります。ボビー・ウィルクス少将は「簡単に説明はできない」としながらも、この計画が対テロリズムへの努力として最も効果的だった主張しました。

 ウィルクス少将の発言は、軍事援助の実態をよく言い表しています。緊急に軍事活動に協力してくれる国が必要な時、慌てた援助が、よく考えもせずに行われるものです。相手の要求に応じて、こちらの要望に応えてもらうため、冷静さを欠いた援助が行われても、まったく不思議ではありません。結果として効果が出れば無駄ではないと当事者は考えるのです。しかし現状で、パキスタンはブット氏が暗殺され、アルカイダが居座り、パキスタン人の武装勢力がアフガニスタンで活動しています。とても安定した状態とはいえません。ウィルクス少将は、軍事援助を与えなかったら、もっと悪い状態になっていたと言うのでしょうが、私はそうは思いません。また、軍事目的の費用であるため、情報公開が十分に行われないという点にも問題があります。下手すると、国防総省自体が、十分に実態を把握していないという事態も起こり得ます。そして、相手国が期待に十分に応えてくれるという保証もありません。それが軍事援助の実態です。 

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