サドル師が停戦を停止すると脅迫

2008.4.10



 また、サドル師が「停戦を止める」と言い出しました。military.comによれば、バグダッドで起きている彼の支持者に対するイラク政府の攻撃を止めろと言うのです。

 バグダッド市内のサドルシティでの戦闘では、双方の発表に差はありますが、少なからぬ被害が出ています。サドル師は9日に大規模な集会を計画しましたが、イラク政府は外出禁止令を発し、サドル師は集会を中止しました。そして、マリキ首相はマハディ軍の解散を要求しました。それに対抗するように、サドル師の補佐が記者会見を開き、イラク政府が憎むべきアメリカの圧力に屈服したことを非難しました。「私はイラク政府に求める。もし、政府が存在するのなら、イラクの人々を守るために働き、流血とその名誉を乱用するのを止めよ。政府は占領者の我らが聖なる国からの撤退か、撤退の計画を要求する」よう、強く求めました。そうしなければ、停戦を止めるというのです。

 抽象的な表現と具体的な表現が入り交じった要求で、これがバグダッドで支持者に対する攻撃を止めろという要求になることを理解するのがむずかしいほどです。それはともかく、外国の軍隊の撤退をイラク政府が認めるわけはなく、必然的に停戦は終わることになるのかも知れません。もっとも、中東の常識は理解しにくいので、まったく違った展開へ進むのかも知れません。イラク政府がマハディ軍の解散という無理な要求をしているので、サドル師もイラク政府にとって呑めない要求を突きつけているのかも知れません。双方手詰まりになったところで、うやむやにしてお終いという話になる可能性もあります。そうしないと、国内は一層の混乱状態に陥ります。この結末が一番考えやすいように思われるのです。

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