北朝鮮の示威行動は逆効果

2008.4.2



 北朝鮮が韓国に対して軍事的な挑発を続けています。しかし、先月28日に公海上で対艦ミサイル「スティックス」とみられる短距離ミサイル数発を発射したことは、年次訓練として予定されたものであり、李明博(イ・ミョンバク)政権への圧力ではありません。韓国政府もそうした見方をとっています。

 直接的な威嚇と言えるのは、先月25日以降、北朝鮮の戦闘機が軍事境界線に接近したり、機械化部隊が訓練後に南方へ移動する動きを見せたことです。これらは、太陽政策を破棄した李政権への直接的な威嚇と考えて差し支えありません。これまでは、ごり押しすれば韓国が要求を聞いてくれたのに対して、李政権は何もしてくれそうにありません。そこで、軍事的な威圧を増やしているのだと考えられます。

 しかし、北朝鮮には長期的な戦争を行う体力があるようには思えません。このように威嚇を繰り返すのも、春から夏にかけてであり、秋の収穫量がはっきりする頃には態度が変わるかも知れません。北京オリンピックを控えて、中国の反発を買うような活動もできないでしょうし、これらの威嚇行動はむしろ冷ややかな目で見られるでしょう。

 今後も、軍事境界線上で示威行動が増えるはずです。南北の共同事業でもあれこれと悶着があるでしょう。それでも北朝鮮にできるのは精々が小規模な部隊を潜入させる程度で、全面戦争を韓国に仕掛ける余裕はありません。経済的制裁は効果が出るまでに時間がかかるものです。李政権がどんな北朝鮮政策を行い、どんな結果が出るのかに、注目していく必要があります。

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