米軍トップがゲーツ長官と会談

2008.3.22



 20日に、米軍のトップがロバート・ゲーツ国防長官と、これからのイラクの兵力レベルに関するテレビ会議を1時間にわたって行いました。その内容は明らかではありませんが、その一部がmilitary.comにより、報じられています。参加者は、ゲーツ長官の他、マイク・マレン海軍大将、ウィリアム・ファロン海軍大将、デビッド・ペトラエス陸軍大将です。

 この会議で、7月以降に予定されている兵力削減について、ペトラエス大将は明確な発言をしなかったようです。少なくなった兵力がイラクの暴力にどのような影響を与えるかが分からないためです。イラクには、現在158,000人の米軍がいます。これが7月以降、140,000人まで減ると予測されています。これについて、色々と書かれていますが、要するに結論は出ていないという認識で間違いありません。

 このように、本当に約束どおりにイラクから部隊を引き揚げられるのかは、米軍のトップにも分かっていません。記事には、イラクでの暴力事件が減ったことが数字で表現されています。2月末で民間人の死者は昨年6月に比べると60%減少し、米軍の死者は70%減少しています。しかし一方で、自爆ベストを使ったテロ事件が増加していると、記事は書いています。

 仮に削減に成功したとしても、この程度では一時的な削減としかいえません。別の記事では、イラク南部のバスラに巣くう、ムクタダ・アル・サドル師が率いるマハディ軍とバドル旅団がおり、さらにいくつものグループが存在し、対立している模様を報じています。イラクの各地に似たような事情が存在します。

 7月以降の撤退の問題は、大統領選挙において、民主党に有利な材料だといえます。実際に、この夏に撤退が実現しなければ、やはり共和党の大統領では駄目だという認識が米国民に広まります。票は民主党の候補者に流れるのではないかと考えられます。そうなると、米政府は撤退が成功したように見せかけようとするでしょう。つまり、我々の観察は、そこに集中されるべきなのです。

Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.